空き家問題について考えてみた
近年、テレビのニュース番組や新聞記事、ウェブのニュースサイトなどで「空き家問題」について目にすることが多くなりました。自宅を建てることを計画した時、この問題について考えることは避けられません。
空き家の問題について詳しいブログといえば(僕の中では)「空き家の活用で社会的課題を解決するブログ」ですが、こうしたブログに書かれている記事を読んだり、テレビや新聞の報道を聞くと、
「自分の家を新築していいのだろうか?」
と激しく悩むことになります。その答えを知りたくて、もっとしっかり考える材料が欲しくて、タイトルもズバリなこの本を読んでみました。
日本における空き家問題の現状と今後の見通し、それが個人や社会にどのような影響を及ぼすのか、その解決策はあるのか。こうした点に関して、主に都市部について論じられている本なのですが、ここで書きたいのは地方で暮らす僕たちに「空き家の問題はどう影響するのだろうか」という点です。
「空き家」が自分に与える影響
今から25年後、2040年を迎えた時のことを考えてみたいと思います。
僕は65歳、トム(妻)は56歳になっています。お互いの親が健在であれば70代後半から90歳くらいで後期高齢者、もしかすると亡くなっているかも知れません(団塊の世代が後期高齢者に突入する問題は、一般的に2025年問題と言われています)。あまり考えたくはありませんが、後者の条件、彼らが亡くなった場合で考えをすすめてみたいと思います。
もし僕たちが自分たちの家のために新たに土地を購入していたとすると、
- 僕たちの土地と家
- awの親の土地と家
- トムの親の土地と家
- awの祖父母の土地と家
- トムの祖父母の土地と家
の5つの土地を継承、管理していることになります。
第一の影響:土地と空き家管理の負担
25年後の2040年になると、先に書いたとおり僕の親世代=団塊の世代たちが90歳を迎えます。亡くなっている人も多いでしょうし、自分たちだけで生活することが難しくなってケアハウスなどに転居している人も多いでしょう。
つまり、人口の一大勢力である団塊の世代の人たちが、自分たちが暮らしてきた家を一気に離れ始める、あるいは離れていると考えられ、現在とは比較にならないほど「空き家問題」が現実社会に多大な影響を及ぼしていることが想像できます。
そうなると国や自治体も「空家等対策の推進に関する特別措置法案」のような生ヌルイものではなく、より強い対策を打ち出してくるでしょうし、その頃にはすでに出きているでしょう(関係ないですが、こういう法律の文章って、もうちょっと句点をきちんと使って一文を短くしてほしいですね。ヒジョーに読みづらいです)。
そうなると、今のように「手が回らないから管理できない」とか「解体費用がないから更地にできない」とか、生ヌルイ(管理者個人としては決して生ヌルイ状況ではないのですが)態度は許されなくなっていると想像します。
その時僕たちは、上記5つの土地を同時に管理している必要があるわけです。家の清掃や修繕、敷地内の除草を始めとする管理を、5つの土地で継続的に実施するのは、並大抵のことではなさそうです。
第二の影響:固定資産税の負担
次にのしかかる負担がお金の問題。固定資産税です。
住宅用地特例によって、家が建っている土地の固定資産税は更地のそれに比べて6分の1(これが廃墟同然となった空き家でも解体されず残され続ける理由だと言われています。先にも書いた「空家等対策の推進に関する特別措置法案」によって、倒壊のおそれがあったり景観を著しく損ねる「危険な空き家」の場合は特例から除外され、更地と同額が課税されるように改正されますが、これにもいろいろ問題があるようです)。
固定資産税は地方税の多くを占めるものです。鳥取市の場合、市税のおよそ半分を固定資産税が占めています。今後、人口減少が進んで税収も減ることが確実視されるなか、「更地でも、家が建っている時と同じ税額に引き下げます」なんてことは、その逆はあっても、ないでしょう。
いずれにせよ、さきほどの5つの土地を継承した場合、固定資産税を支払う必要があります。問題はその額です。地方都市ゆえに比較的安いとはいえ、支払う対象が5つもあると結構な額になりそう。
というわけで、親に現在支払っている税額を聞き、かな〜りザックリと計算してみました。25年後ということで結構割安にしています。ちなみに()内は更地にした場合の額。
- 僕たちの土地と家:15万円
- awの親の土地と家:7万円(42万円)
- トムの親の土地と家:5万円(30万円)
- awの祖父母の土地と家:13万円(78万円)
- トムの祖父母の土地と家:2万円(12万円)
すべて家を残した場合でも42万円/年、自分たちの家だけ残し残りをすべて更地にした場合はなんと177万円/年です。もしキャンプハウスを建てて住宅ローンを支払っているとしたら、これらをローン返済額とは別に支払う必要があるわけです。
第三の影響:自分の子どもたちの負担
第三には、こうした、いわば「負の遺産」とも言える土地を自分たちの子どもに託すことになってしまう、という問題です。
5つの土地のうち、幾つかは鳥取の中心市街地にありますし、他の土地も比較的中心部に近い整備された住宅地の中にあるため、貸したり売ったりなどが可能かも知れません。しかし、25年後にその土地にそうした流動性や活用性が残っているかどうかは誰にも分かりません。
これまで、親が資産として子どもに対して受け継いできた「土地」は、現代ではもはや負債という側面を持ち始めています。自分たちの子どもの世代になった時、これら5つの土地がどういう価値を持っているのか? 今の僕には正しい予測をすることはできませんが、次のことは言えるような気がします。
今、新たに土地を取得するべきではない
この1か月ほど、先ほど紹介したブログやニュース、書籍を通じて考えてみましたが、今のところ、この結論に至りつつあります。
そうすると決めたわけではないので、土地の情報収集や勉強は進めていくつもりですし、現在親族は全員健在で土地も有効活用されているので、僕たちが今そこにキャンプハウスを建てることはできない以上、それらの土地とは別の場所で建てることを前提に計画を進めていくしかないのですが。
これは本当に難しい問題です。思考を続け、また何かしら考えがまとまれば、書いてみたいと思っています。