コンテナを使って家を建てる
以前、建築家に比較的大きな規模の建造物を安く建てることはできないか?という相談を仕事絡みでしたことがあります。最初の提案内容が希望予算の3倍くらいであることを伝えると、「コンテナを使えばもっと安くできるかも」と。ん、コンテナで家を建てるとな?
住宅用のコンテナ
1995年の阪神淡路大震災の時に仮設住宅に用いられたのが、貨物用のコンテナ。時は流れて現在では、建築基準法に準拠した*住宅用のコンテナというものが製造販売されています。例えば、
といったプロバイダから購入や施工が可能のようです。
いわば「既製品の箱」なので比較的低コストですし、住宅用として作られたものなので居住性や堅牢性も考えられています。
サイズは、例えば上記のデベロップという会社のものだと、以下のような感じ。
- 40Feet / 幅:12,192 × 奥行き:2,438 × 高さ:2,591mm
- 20Feet / 幅:6,058 × 奥行き:2,438 × 高さ:2,591mm(ハイキューブタイプ:H2,896mm)
(単位がミリなのでちと分かりづらいですが、カンマ以上をメートルとして読むと分かり易いかもです)これを最小のユニットとして縦や横や上に連結させたり、斜めにしたり飛び出させたりすることで、無限の可能性が広がるわけですね。
コンテナの家なんて貧乏くさい?
「コンテナで家を建てるなんて貧乏くさい!」
と思われるかも知れません。
でも、以下の写真たちを見てください。ふつうの住宅とは少し雰囲気が違いますが、割とふつうな家だと思いませんか?
出典:HomeDSGN
コンテナと聞くと「鉄」というイメージですが、こんな風にウッディな雰囲気にすることもできます。
ちょっと嗜好を変えて、アーバンな感じにも。こちらはかなり複雑な組み合わせですね。
一つのコンテナだけを使えば、離れや倉庫などの増築も比較的簡単に行えそうです。
出典:@WEB
コンテナとコンテナを離して設置し、その間に屋根をかければこんな感じに。広大な内部空間が誕生します!
出典:CNN
日本だと仮説のお店などばかりで住宅の施工例が少ないようですが、海外に検索対象を広げるとたくさんの事例が出てきますよ。 → 「Container House」の検索結果を見る(Google)
コンテナで家を建てるメリット、デメリット
コンテナを使用した家づくり。ちゃんとコンテナのプロバイダも存在しますし、意外とふつうの外観の家も建てられそうですし、現実的かも知れません。
先日のエントリーに掲載した妄想「デッキだらけの家」にも合いそうですしね。
あとは「なぜ、コンテナを使って家を建てるのか」というしっかりとした理由が欲しいところ。低コストで家が建てられるというのはもちろん大きな魅力なのですが、それだと「本当は在来工法で建てたかったのに」みたいな妥協の産物になりかねないからです。
そこで、コンテナを住宅に用いるメリット、デメリットについて、思いつく限り挙げてみたいと思います。
メリット
- 低コスト
- 短期間で家が建つ
- (意外と)自由度の高いデザイン性
デメリット
- コンテナのサイズがだいたい決まっている
- (上記の3とやや矛盾しますが)あくまでコンテナ同士の組み合わせでかたちを決める必要がある
- 「変な家だ」と近所の人に笑われる(かも知れない)
思いつく限りと書いた割には少なかったですが、メリットはやはり「安い」「早い」ということになりますね…。同じようなバリューを謳っている大手のハウスメーカーがどれくらいの工期で建てられるのか分かりませんが、それと比較するとデザインに関しては比較的自由度が高いのかも知れません。
また、「他の人と同じは嫌だけど、あまりに変わり過ぎるのも嫌」というムラ社会ニッポンならではの感覚を持つ我々にとっては、(周囲の)人と違い過ぎる家の建て方というのも精神的負担など、デメリットになる可能性があります。
結局、安く建てられる、という点が最大の魅力になるのかも知れませんね。
*貨物用コンテナを住宅や倉庫など、建造物として使用することはできないようで、国道交通省からも「コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について」という通達が都道府県宛に出されています。