地元の地震について調べてみた
2/6に発生したトルコ・シリアでの地震からまもなく1か月が経ちますね。いまだに大きな余震が続き、被害者の数も増え続けています。トルコは頻繁に大きな地震が発生することで知られていますが、今回の地震は、99年に発生したイズミット地震※1をはるかに超える規模になっています。内戦が続いているシリアに至っては、被災地が空爆を受けたという報道※2もあり、心が痛みますね。
本当にいつ、どこで地震が起きるかなんて分かりません。大切なことは、可能な限り情報収集して、可能な限り準備と備えをしておくことだと思います。
地震本部
僕は時々、「地震本部」や、世界のどこで地震が発生しているか確認できる「アメリカ地質調査所(United States Geological Survey)」が運営しているLatest Earthquakesを見たりします。
「地震本部」は、1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機に、地震に関する調査研究の成果を社会に伝え、政府として一元的に推進するために設置された機関で、地震に関するさまざまな情報が掲載されています。
この中でも、海溝や活断層の評価、これらをもとにしたリスク図(地震動予測地図)は、僕たちの日常生活における防災を考えるうえでの良い材料の一つになると思います。
スマホでご覧になる場合、以下の画像は細かすぎてよく見えない可能性あがりますので、「地震本部」のホームページを直接ご覧になることをお勧めします。
主要活断層の評価結果
主な海溝型地震の評価結果
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当然のことながら、地震発生率が高いと考えられているSランクの活断層がある地域、そして日本海溝、相模・駿河・南海トラフに面した太平洋沿岸の地域はリスクが高いと考えられています。他方、日本海側は主にリスクが低いようです。
全国地震動予測地図※3 2020年版
がしかし、安心はできません。
「地震本部」は地震動予測地図を都道府県別に発表してくれているので、鳥取県版を見てみます。
我が家は鳥取市役所から歩いて10分ほどの場所にあるんですが、この図を見ると真っ赤っか、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は6〜26%と非常に高くなっています(以上4点の画像出典:地震本部)。
より細かい報告(評価の理由)も見ることができます。
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出典: 地震本部「全国地震動予測地図2020年版」
完全なる素人、完全なる門外漢たる僕の意見ですが、ヤバい感じがビシビシと伝わってきます。
「超過確率※4の値【%】」を見ると、震度5弱は82.4%とかなり高く、震度6強という強烈な地震でさえ1.5%もあります。南海トラフの発生と被害が懸念されている四国地方、例えば高知県の震度6強の超過確率が63.4%と非常に高い値となっていることを考えれば浮き足立つ必要はないのかも知れませんが、昨今の大きな地震は「危ない、近々地震が起きる」と言われていない地域で発生している事実を見ると、やはり安心はできません。地震の発生確率で1%以上はまあまあ高い部類になるそうですし。
そして、我らのように、耐震という概念のない時代(1970年)に突貫工事で建てられた木造住宅に暮らしている人間は、特に。
過去に鳥取県で起きた主な地震
さてここで、過去に鳥取県で発生した地震を見てみたいと思います。
西暦(和暦) | 1710年10月3日(宝永7) |
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地域(名称) | 伯耆 |
マグニチュード | 6.5~6.8 |
県内の主な被害 | 河村、久米両郡で被害最大。倉吉・八橋町・大山・鳥取で被害。伯耆で死者75人、家屋倒壊1092棟。 |
西暦(和暦) | 1711年3月19日(正徳元) |
地域(名称) | 美作・伯耆 |
マグニチュード | 6.5~6.8 |
県内の主な被害 | 因幡、伯耆両国で死者4人、家屋倒壊380棟。 |
西暦(和暦) | 1854年12月23日、1854年12月24日(安政元) |
地域(名称) | (安政東海地震) (安政南海地震) |
震央 | 安政東海地震/東海道沖 安政南海地震/南海道沖 |
マグニチュード | いずれも8.4 |
県内の主な被害 | 鳥取で家屋全壊10棟(地震調査委員会 2009) |
西暦(和暦) | 1943年3月4日、1943年3月5日(昭和18) |
地域(名称) | 鳥取沖 |
マグニチュード | いずれも6.2 |
県内の主な被害 | 両方で軽傷者11人、建物(含非住家、塀など)倒壊68棟。 |
西暦(和暦) | 1943年9月10日(昭和18) |
地域(名称) | (鳥取地震)※5 |
マグニチュード | 7.2 |
県内の主な被害 | 死者1083人、負傷者3259人、家屋全壊7485棟、鳥取市を中心に大きな被害。 |
西暦(和暦) | 1946年12月21日(昭和21) |
地域(名称) | (昭和南海地震) |
震央 | 紀伊半島沖(和歌山県南方沖) |
マグニチュード | 8.0 |
県内の主な被害 | 死者2人、負傷者3人、住家全壊16棟。 |
西暦(和暦) | 2000年10月6日(平成12) |
地域(名称) | (平成12年(2000年)鳥取県西部地震) |
マグニチュード | 7.3 |
県内の主な被害 | 負傷者141人(うち重傷31人)、住家全壊394棟。 |
西暦(和暦) | 2016年10月21日(平成28) |
地域(名称) | (鳥取県中部地震) |
マグニチュード | 6.6 |
県内の主な被害 | 負傷者25人(うち重傷8人)、住家全壊18棟。 |
出典:地震本部「鳥取県の地震活動の特徴」
どうしても目が行くのが、1943年に起きた鳥取地震、2000年の鳥取県西部地震、2016年の鳥取県中部地震です。ここ80年のうちに3つの大きな地震が鳥取県全体を襲っています。
それ以前となると、1710年と1711年に伯耆(鳥取県西部)で発生した地震の記録が残るのみで、僕たちが暮らす東部での大きな地震の記録はありません(調べれば出てくるのかも知れませんが)。
また鳥取地震が発生したのと同じ年、1943年の3月には、鳥取沖を震源とする地震が発生していた、しかも2日連続で※、という驚きの記録があります。1943年は3度も大きな地震に見舞われたということになりますね。
ちなみに、1943年9月の鳥取地震は翌年発生した昭和南海地震の前兆であった可能性が、また2000年の鳥取県西部地震と2016年の鳥取県中部地震も同様なのではないかとの指摘※6もあります。
しかしそれならばなぜ、1854年の安政南海地震など100〜150年おきに大きな地震を起こしてきた南海トラフの1900年以前の記録と合致しないんでしょうか。まあ地震のメカニズムは複雑怪奇なものでしょうから、単純なプロセスに落とし込もうとするのがダメなんでしょうけれども。
いずれにしても、2000年代に入って鳥取県で起きた地震が巨大地震の前兆ではないことを祈るばかりです。
耐震補強診断
今の家に暮らしはじめてすぐに、耐震補強について書いた記事があります。
その後、家屋に対して何かしら補強となるようなことはできてなく、在宅時に過ごす場所を平屋部分(食堂、風呂など)か、2階(寝室、仕事部屋)にほぼ限定するかたちでリスクを下げるようにしただけ。
車庫の拡張工事に伴って耐震補強ができないか建築家の友人に尋ねましたが、「awさんの家をしっかり耐震補強しようと思ったら、新築と同じくらい費用がかかると思います」とのこと……ウーム。
首都圏の直下型地震、富士山の噴火、南海トラフの大地震など、今後数十年以内に発生する可能性が極めて高いとされている災害は多数あります。「災害が迫っていることが分かっているのなら、そこに住み続けるのは危険なのでは」と誰もが考えますが、誰もが別の土地に暮らしを移すせるわけではありません。
僕たちの場合、単に住む家を替えるだけで良いのですが、それでも事情が重なって難しさを感じているわけですから、災害が及ばない別の地域への引っ越しなんてなかなかできるものではありません。
希望の土地に理想のキャンプハウスを建てられる日が来るのを頬杖ついて待っているだけではなく、まずは鳥取市が実施している無料耐震診断を(今年こそ)受診、現状を客観的に評価してもらうなど、意味のある今できることを探してみようと思います。
みなさんも、ご自分が暮らしている土地の地震の歴史、地震ハザードカルテ等でリスクのチェックをされてみてはいかがでしょうか。
- Wikipedia「イズミット地震」
- 毎日新聞「シリア・アサド政権軍、被災地空爆か 英外相ら批判「実に冷酷」」
- 確率論的地震動予測地図=今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率
- 超過確率とは……地震動の超過確率は、着目地点において、その地点に影響を与える様々な地震について、ある期間内に少なくとも1回地震動の強さがあるレベルを超える確率(出典:J-SHIS「地震ハザードステーション「地震の発生確率と地震動の超過確率」)
- 1945年の敗戦前後にかけて4年連続で1,000名を超える死者を出した4大地震(東南海地震、三河地震、南海地震)の一つ。
- 2日連続で地震が発生しただけでなく、マグニチュード6前後の大きな揺れが3回も発生したと記録が残されています。「1943年3月4・5日(M6.2、M5.7、M6.2)4日19時13分にマグニチュード6.2の地震が発生し、22分後の19時35分にマグニチュード5.7の地震が連続して起こった。その後も余震が続き、翌日5日4時50分にもほぼ同じ所でマグニチュード6.2の地震が発生している。震央は当時の地震記録と被害分布から鳥取市賀露港沖と推定された。」出典:西田良平(鳥取大学工学部土木工学科)「山陰地域の地震活動」
- YouTube ウェザーニュース「「阪神・淡路大震災」は「南海トラフ巨大地震」の前兆なのか」