エマージェンシーセットを検討してみた
最近、何人かの友人たちと話をしていたら、車を選ぶ際に安全性については考慮しないとか、未就学児を車に載せる際にジュニアシートを使わないとかシートベルトさせないとか……そんな(僕にとっては驚愕の)話を聞きまして。
日本人の保険加入率の高さは人口比率でおよそ120%と(*1)、1人が1つ以上の保険契約をしているという状況。これをどう捉えるかは様々な見方がありますが、将来起こるかも知れない問題に対して準備しておきたいという考えが動機の一つであることは間違いありません。
一方で、自動車の安全性について先ほど書いたようにふるまう人もいます。
個人的には、「自動車を運転していると事故にあう」、「それによって自分や同乗者、事故の相手の命、健康に重大な危険がおよぶ」という可能性に焦点を当てて、リスクの重大さを検討することは、特に鳥取のような地方都市に暮らす者にとっては価値があると思っています。自動車を運転しない日なんてほとんどないし、つまりその危険に毎日晒されているからです。
しかし実際には、将来起こるかも知れない曖昧模糊とした問題については多額のお金を払って保険をかけ、日常生活のすぐ隣にある危険については「起こらないもの」として準備・対策をしない。
最近、こんな新聞記事もありました
もちろん、将来起こるかも知れない問題、その一つひとつの解像度を高めて自分に当てはめ、十分に検討することはとても難しく、怖いものです。
そのうえ、問題の解像度を高める作業は日本では「縁起が悪い」とされます。口にすることはもちろん、考えることでさえ忌避するこの文化・風習が、こうした「矛盾」を生んでいるのかも知れません。
そんな僕も、身の回りの問題を一つひとつ評価して、優先順位を定めたり必要な準備・対策をとるのが得意なわけではなく、ハッキリ言って苦手です。
でも、この準備と対策を、不安や悲愴感から出発するのではなく、いや出発してもいいんだけど実際にやることは楽しく、成果物もお洒落でクールであれば少しはマシに思えて、より積極的にできるようになるかも知れない……。
エマージェンシーセット
というわけで非常に前置きが長くなりましたが、今回はエマージェンシーセットを検討してみたいと思います。
実は、非常用持ち出し袋については以前、検討したことがあります。
「防災グッズ(非常用持ち出し袋)について考えてみた [後編]」
今回、あらためてエマージェンシーキットを検討しようと思った理由は、既存の非常用持ち出し袋の内容は上の写真のとおりアイテムが非常に多く、定期更新などの管理が大変なうえに汎用性が低い(大きくて重たいので自宅保管。そのため在宅時しか使えない)と感じていたこと。
そして、先日の熊本県を中心に大きな被害を出した豪雨(令和2年7月豪雨)があります。
これから本格的な台風シーズンがやってきます。鳥取県は比較的台風の被害が少ないのですが、台風の規模や強さは年を追うごとに増すばかりで、もはや過去の例など参考になりません。
こうしたリスクに対しては担当の保険営業マンに電話して水災補償付きの保険に加入するのもテですが、財産に対する補償が生きるのも、命あってこそ。
それにいつどこでエマージェンシーな事態に遭遇するか分からないわけだから、できるだけ携帯性の良いセットが良い、と考えました。
エマージェンシーセットの基礎を考える
エマージェンシーセットと一口に言っても、状況によって必要なアイテムは違ってきます。そこで今回は、基礎となる部分=命を守るための道具について検討しておきたいと思います。
昨年の剣山でのイベントで学んだ自然の中でのサバイバルにおける、またブッシュクラフトにおける4つの重要項目、すなわち、
- シェルター(風雨から体を守る=体を冷まさない)
- 炎(体を温める)
- 水を確保する
- 食料を確保する
この考え方を、エマージェンシーセットの基礎に応用することができると思います。
4つのうち、1のシェルターと2の炎は体温保持が共通の目的なので、表記としては以下の3つに整理できます。
- 体温の確保
- 水の確保
- 食料の確保
このうち体温と水、この2つをしっかり確保すれば、もしも何らかの理由で2〜3日、食料の調達ができなかったとしてもなんとか生存できるはず……というスパルタンな考えのもと、さらに要素を絞り込むことができます。
というわけで体温と水の確保を、このたび僕が考えるエマージェンシーセットの基礎とします。
なお、今回は怪我や病気の手当てをする「ファーストエイドキット」とは分けて考えていきます。
1.体温の確保
体温の確保と言えば、こうした軽量ブランケットがすぐに思い浮かびますね。
1人につき1枚あるのが良いのかも知れませんが、収納スペースの問題もありますし、また娘がまだ幼いので、写真のような2人用のもの一つでいいのかも。
2.水の確保
以前の非常用持ち出し袋では、飲料水はペットボトルの水を用意していましたが、緊急時に大量の水を持ち出すことは不可能。自宅にいる時は使えるのですが、それ以外ではあまり意味をなしません。
というわけで、水は現地調達。それには、携帯できるコンパクトな浄水器が必要です。
これら浄水器は、山の湧水や川の水、泥水などそのままでは飲みづらい、または飲めない水を浄化して飲料にしてくれる優れもの。飲料水が手に入りづらい状況でも身の回りに「水」があれば、それを飲料水に変えて水を確保できます。
その他
エマージェンシーセットを使う状況にあって、他にどんなものがあれば良いかを考えてみます。
アレがあるといいな、コレもいいよね……となると既存の非常用持ち出し袋のようになってしまいますので、厳選します。
まず、これがあるといい、というよりも必需品の一つなのが、光です。
夜間や暗い場所などで、周囲の状況を確認するのに必要なアイテムです。また、一緒にいる家族の顔がしっかり見えるのも、安心感を高めてくれると思います。
電池切れは困るので、予備電池と一緒に収納ケースに入れておきたいですね。
続いてはマルチツール。
本音で言えばナイフを選定したいところですが、こちらの方が用途の幅が広いことと、コンパクトなので収納ケース(後述)内で場所をとらないといったあたりでポイント優勢。
(あと、僕の場合、マルチツールは日常的にもキャンプにおいてもあまり出番がないので、エマージェンシーセットの中に入れておいても不便じゃない、というところも意外と大きいです)
最近ではこんなカッコいい見た目のマルチツールもあるんですね……ポチ、となりそうなところをグッと我慢して、すでに所持しているマルチツールにセット入りしてもらいます。
続いては、マッチ。
薪となるものがあって、火を起こせる状況にある場合、体温の確保や水の煮沸、そして大きな光源にもなる焚き火をしたい。
そんな時にマッチがあると最高に便利ですよね。もちろん予備としてライターは持っておきたいですが、100円ライターは時として利用者を容赦なく裏切るので、やはりマッチとライターのハイブリッド体制で。
最後は充電器。
他者・外部との連絡をとり続けるために、スマホなどの通信機器は必須なので、バッテリーと電源ケーブルも、できれば持っておきたい。
非常用持ち出し袋からソーラーチャージャーを引き抜いて、新エマージェンシーセットに加えます。ずっとカバンの中で眠りっぱなしだったので、きちんと動作確認しておかねば。
もしもスペースがあれば、栄養補給できる食料品も少しでいいので入れておきたいですね。
例えば、マイルレースやトライアスロンなどの携行食として使われているトレイルバターのような、少量で高カロリーなエナジーフードなどが良さそうです。
もしくは、僕の大好きなスニッカーズ。
形状が保持しやすく、小さくて場所をとらず、カロリーも高い。そんな非常食は常に探しておきたいですね。
収納ケース
以上のアイテムたちを収めるケースはそれほど大きなものである必要はなさそうですが、いざという時に使えない状態になっているのは困るので、水気や湿気、埃や温度からしっかりエマーエジェンシーアイテムを守ってくれるものが良い。
となると、先日購入したPELICANが最適な気がしますね。
写真のイエローのほかに、オレンジなど目立つカラーもありますし、サイズバリエーションも多い(エマージェンシーセット用には、小型の1150HKを選びたい)ので実に好適かと。
・・・
そんなこんなで、今回検討したアイテムたちを調達して、しっかりとしたエマージェンシーセットを準備しておきたいと思います。
完成したら、またブログでご紹介しますね。
*1 ニッセイ基礎研究所「生命保険の普及状況-世帯加入率、浸透率、人口に対する保有契約の割合」
awさんこんにちは。
私は都内ですが、子供が走行中の車内をウォークスルーしているミニバンや、膝に犬を抱えて運転しているオッサンをちらほら見かけます。
その度、まだまだ交通事故は無くらないよなぁと思っていますが、クルマに限らずルールの自己解釈は世の中に非常に多いですよね。残念なことですが。(自分もしてそうですが・・)
ところでこの投稿を拝見して、持っておいたほうが良いだろうなぁとは思いつつ、何故か入手していなかった浄水セットを購入しました。
うちは車のサブトランクにTHE ARK Ⅲ、アルミブランケット他グッズ、犬用缶詰を載せていますので、そこに追加しときます。
使う事が無いに越したことはないのですが、もしキャンプ中に富士山が噴火したら・・・・等と考えると積んでおかずにはいられなくなってしまいました^^;
追伸
ファミキャンなら問題ないと思ってはいるのですが、我が家は結局未だにキャンプ行けてません・・・(泣)
JKさん、コメントありがとうございます!
僕も保育園に娘を迎えにいくと、必ず数台は見かけますね。車のなかでシートベルト締めずに自由に移動させている保護者の方。後部座席もシートベルト着用義務があることをご存知ない方も多そうです(免許取得後は、道交法の変更や技術維持・確認などが運転者各自に任されているのも現状の一因のように思えることもあります)。
浄水器、購入されたんですね! 犬用の缶詰も車載されてるとはすばらしい❗️
エマージェンシーセット、保険と一緒で使うことがないのが一番ですよね。ただ、やっぱり使わないことを前提としていても、しっかり選んで、満足のいくものを準備しておきたいですよね。
関東は陽性反応が出ている方も多いですし、GoToからも除外されて、アウトドアとは言ってもなかなか外出できる空気感にはならなそうですね。早くご家族でキャンプを楽しめる日がくることを祈っております!