フライパンを検討してみた
aw家にとってフライパンはほぼ毎日使う、欠かせない調理器具です。
現在我が家にはフライパンが7つあり、うち、スキレットや打ち出しの中華鍋など鉄製のものが5つ、アルミ製のものが1つ。そして、ホームセンターで買ったフッ素加工※のものが1つ、です。
フッ素加工フライパン、主役なのに下に隠れてますね笑
このフッ素加工のフライパンが購入から2年以上経って焦げ付くようになってきたので、買い替えを検討しようということになったわけです。
我が家で使用しているフッ素加工のフライパンは、上端直径が28センチと大きめなのに約700gと軽量、調理時に油を使わなくても良い/使う量が少なくて済むなど、使い勝手がとてもよく、購入を渋っていた僕も購入後はかなり高い頻度で使っていました(このパターン多い)。そうそう、洗うのも楽だし、スキレットと違って使用後のメンテナンスも不要ですしね。
でも今回のように、買って数年で廃棄することが分かっている製品を買うという行為に、罪悪感に近いものを感じるわけですよ。
代替品がなければ仕方ないんですが、我が家にある他の6つのフライパンのように、使う作法や使用後のメンテナンスなど多少手がかかるけど長く付き合っていける製品はあるわけで……とはいえ、軽くて使いやすいフライパンを求めるトム(妻)の気持ちも十二分に分かる……。
というわけで、フッ素加工のフライパンの代わりになる製品がないか、調べてみることにしました。条件としては、
- 軽い → 700g + 30〜40%(910〜980g)
1kgくらいが限界かなといったところですが、上写真の中華鍋が980gでして、トム曰く「重くて振れない」ということなので1kgでも本来はNGなんですよね。 - できるだけ大きい → 28センチは確保したいところ……
- 調理時に扱いやすい → 焦げにくい
要するにフッ素加工のフライパンに近い特性を持ちつつも短期間でダメになったりしない製品ということですね。
そんなの、あるのかなぁ……と思いつつも、探してみました。
tsukumo(ツクモ) 打ち出しフライパン
打ち出しの鉄製フライパンで名高い山田工業所のブランド「tsukumo(ツクモ)」の打ち出しフライパンです。
画像出典 :ZUTTO
サイズ | ・上端直径/28cm ・深さ/5.5cm ・高さ/12.3cm ・長さ(取手含)/47.8cm |
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厚さ | 1.2mm |
重さ | 約1.16kg |
素材 | ・本体/鉄(SPHC 熱延鋼板) ・ハンドル/天然木(桜) ・つなぎ金具/合金鋼 ・リベット/ステンレス |
生産国 | 日本 |
対応熱源 | ガス・IH |
職人が一枚の鉄板を”打つ”ことによって鉄を締めながら成形する「打ち出し」によってつくられたフライパンです。この「打ち出し」でフライパンをつくっているのは、日本国内だと山田工業所だけだとか。
この打ち出しの工程で微妙な凹凸ができるため、食材が焦げ付きにくいそうです。
とはいえ、いわゆる普通の鉄製フライパンなので、使用前に十分に加熱しないと焦げ付くと思いますし、使用後のメンテナンスは必要です。
軽さ (1kg以内) |
サイズ (28cm〜) |
扱いやすさ (焦げにくい) |
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△ | ○ | △ |
バーミキュラ フライパン #26
「世界一の鍋」を標榜する日本初の鋳物調理器具ブランド、バーミキュラ(Vermicular)の、鋳物とホーローを組み合わせたフライパン。
画像出典: バーミキュラ
サイズ | ・直径/26cm ・深さ/4cm ・高さ/10cm ・長さ(取手含)/46cm |
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重さ | 約1.1kg |
満水容量 | 1.8L |
耐熱温度 | ・フライパン本体部分/300℃ ・ウッドハンドル部分/60℃ |
素材 | ・鋳鉄ホーロー ・ハンドル/オーク材 |
対応熱源 | ガス・IH・ハロゲン・ラジエント・シーズ |
このフライパンも、「世界一、素材本来の旨味を凝縮する」ことを目指して開発されたそう。
どうやって「素材本来の旨味を凝縮」するかというと、素材から出る水分を瞬時に蒸発させることでそうなるらしく、バーミキュラのフライパンは同社独自のエナメルサーモテクノロジーによって、フッ素加工のフライパンと比べて100倍以上の速さで水分を蒸発させられるとか。
鋳物+ホーローと聞くと、ル・クルーゼやストウブのような鍋を想起する人は多いと思うんですが、あのテの製品は空焚きがご法度ですよね。水を沸かすなど以外は基本的に中弱火での使用が推奨されていますし、バーミキュラもオーブンポットなどの鍋については空焚きにならないよう注意を促しています。
ですが、このフライパンは特にそうした注意喚起はないようです。長時間の空焚きについても、木製のハンドルが焦げつかないようにそうしろと。ふむふむ。
ただし、表面に施されたホーローが傷つかないよう、調理時の金属製トングやレードル、洗浄時の金たわしなどの使用はNG、です。
ホーローなので焦げ付きにくいというわけではないし、鋳物の特性を活かすためにしっかり加熱、蓄熱してから使用する必要があります。というわけで、扱いやすいというわけではなく、調理時/洗浄時の作法を考えると、むしろふつうの鉄製フライパンより手間がかかりそう。
見た目は実に格好いいんですけどもねぇ。
軽さ (1kg以内) |
サイズ (28cm〜) |
扱いやすさ (焦げにくい) |
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△ | △ | × |
バーミキュラのフライパンは、検索するとたくさんの動画や記事が出てきますが、僕としては、「バーミキュラのフライパンレビュー。購入して気づいたメリット・デメリット」(いじたく)という記事がとても参考になりましたのでご紹介しておきます。
岩鉄鉄器 ダクタイルパン26
岩手製鉄の岩鉄鉄器、「ダクタイル(球状黒鉛鋳鉄)」シリーズのフライパン。
画像出典: 岩鉄鉄器
サイズ | ・上端直径/26cm ・底面直径/20cm ・深さ/5cm ・長さ(取手含)/46cm |
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重さ | 約1.1kg |
満水容量 | 2.0L |
耐熱温度 | 300℃ |
素材 | 鋳鉄 |
生産国 | 日本 |
対応熱源 | ガス、IH、シーズヒーター、ラジエントヒーター等2 |
メーカーの技術解説ページにはいろいろと難しいことが書いてあるんですが、まとめると、次のような感じですね。
- タグタイルで薄くて軽くて強い鉄器をつくるのは非常に難しいんだけど、できた!
- 錆(サビ)の原因となる酸化と傷は、独自技術によりクリア! さらに窒素加工+酸化加工によって、より錆びないように!
- 鉄器のメンテの定番「使用後の油塗布」が不要、お手入れ簡単!
基本は鋳鉄製のフライパンなのですが、錆び防止のために施される窒素加工によって鉄の表面に2〜3μm(マイクロメートル)の極小の凹凸が生じ、それによって食材が焦げ付きにくくなるみたいなんですよね。
とはいえフッ素加工のフライパンのように油無しでもOKかといえば当然そんなことはなく、どの解説記事/動画を見ても、しっかりめに油が投入されてましたし、万が一にも焦がさないためにきっちり余熱して調理に臨んでいましたので、やはりその作法は必要なのかなと。
ただ、先に掲載したバーミキュラのフライパンのように、金属製の調理器具やタワシを使っちゃいかんてことはないので、鋳鉄製らしくゴリゴリ使っても問題なさそうなところは好感です。
軽さ (1kg以内) |
サイズ (28cm〜) |
扱いやすさ (焦げにくい) |
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△ | △ | △ |
ユニロイ フライパン
新潟県三条市の三条特殊鋳工所の鋳鉄製品ブランド、ユニロイのフライパン。
サイズ | ・内径26cm ・底面径/18cm ・本体高さ/5.5cm ・全体高さ/12cm ・全体長さ/47cm |
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重さ | 約1.3kg |
厚さ | 約2~2.5㎜ |
満水容量 | 2.3L |
耐熱温度 | 600℃ |
素材 | ダクタイル鋳鉄 |
表面塗装 | 耐熱塗装20%艶 |
生産国 | 日本 |
対応熱源 | ガス、IH、シーズヒーター、ラジエントヒーター等 |
ユニロイ(UNILLOY)という名前は、Uniuque-Alloy=ユニークな合金という意味です。ユニクロに似てますね。
タグタイル鋳鉄が使われているということで、先の岩鉄鉄器と特徴やスペックだけでなく見た目も似てるんですが、特筆すべきは、著名なプロダクトデザイナー、山田耕民氏がデザインしているということ。野田琺瑯のアンビやノマク、吉田金属工業のグローバルシリーズなどでご存じの方も多いと思います。僕もグローバルのナイフを愛用していますし、以前はOIGENのシャラクモノシリーズのキャセロールを使ってましたねぇ(アレどこに行ったんだろう……)。
ユニロイのウェブサイトを見ると軽さが強調されていますが、岩鉄鉄器と比べると200gほど重い1.3kg。我が家のフッ素加工フライパンのほぼ倍ですね。
ここで言う「軽い」は「鋳鉄にしては軽い」ということなので、注意が必要ですね。
軽さ (1kg以内) |
サイズ (28cm〜) |
扱いやすさ (焦げにくい) |
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× | △ | △ |
リバーライト 極JAPAN フライパン
千葉県にある鉄製調理器具メーカー、リバーライトの極(きわめ)JAPANシリーズのフライパン。
サイズ | ・直径/26cm ・深さ/5.0cm ・全長/45.3cm ・高さ/11cm |
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重さ | 950g |
板厚 | 1.6mm |
素材 | ・本体/冷間圧延磨き鋼版 ・鍋の表面仕上げ/特殊熱処理(窒化鉄) ・ハンドル:天然木 |
対応熱源 | IH(200V対応)・ガス・電気コンロ (全ての熱源に対応しています) |
いくつかのフライパンを見てきたので、なかなか固有の特徴を挙げにくくなってきてますが(汗)、リバーライトのフライパンは木製のハンドルが交換用パーツとして単独で準備されていたりして、末長く愛用してほしいという作り手の気持ちが伝わってきますね。
そして何より、リバーライトのフライパンはその他の製品と同じ26cmのサイズで950g、堂々の1kg切りを実現しています。
「おっ、だったら28cmでも結構イイ線いくんじゃない?」と調べてみたら、1.3kgとなかなかの重さとなっておりました。惜しい!
軽さ (1kg以内) |
サイズ (28cm〜) |
扱いやすさ (焦げにくい) |
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○ | △ | △ |
チェックしたその他の製品
ほかにもチェックしたものの掲載を見送ったフライパンはいくつかあるのですが、中でも「あじのねフライパン」、「魔法のフライパン」は興味を持った製品でした。
しかし、前者は重さの情報が無かったこと、後者は納期が2年半と桁違いに長かったことから購入の可能性が非常に低い、ということで詳細チェックは見送っております。
双葉工業 スーパーエンボス SE-6
いろいろと見てきたんですが、今回掲載したのはいわばフライパンの中でもブランド品、有名品(そんな言葉あります?)といった感じのものたち。
そんな中、とある記事で「安いけれど意外とこれいいよ」って紹介されていた製品がありました。「双葉工業 スーパーエンボス SE-6」です。
サイズは希望通りの28センチで重さは930gとまあまあ軽く、エンボス(凹凸)加工によってくっつきにくいという特徴の製品です。これが本当なら正に理想どおりのフライパン……。
ただレビューを読むと、軽量化を図った結果、鉄板が非常に薄くなり(そりゃそうです)、これが加熱や冷却によってバン!とけっこう大きな音を立てることがあるのだとか。そして、薄いがゆえに底面の温まり方がガスの火の形状になりがちで、焼きムラができやすいみたい。ふむふむ。
その他、寄せられている悪評は、フッ素加工と同じ作法で扱った結果に対してのもののようなので無視して構わないと思うのですが、この音が生じるのが個体差なのか、それともこの製品に共通する特徴なのか、そして実際どれほどの音なのか。本製品を扱ったブログ記事をいくつか読んだんですが、この音については言及がなかったんですよね。
加えて言うならば、本体の鉄にシリコン塗装されているのが気になりますが、値段も非常に手頃ですし、もしこれで長く愛用できるのであれば環境にもお財布にも優しい。しかし、もしそうでなければ結局、廃棄することになってしまうわけで……悩みます。
軽さ (1kg以内) |
サイズ (28cm〜) |
扱いやすさ (焦げにくい) |
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○ | ○ | △ |
・・・
結論: 決まりませんでした……。条件をどれだけ満たしたかで言えば、リバーライト 極JAPAN、または双葉工業のフライパンなんですけどね。もう一度、フッ素加工のフライパンを買って、その間に調査継続&決定しますかねぇ。
いつも優柔不断な自分に悲しくなりますワ(涙)。
- フッ素加工は、テフロン加工とよく混同されますが、テフロンはデュポン社が開発し特許を持つフッ素加工の一つです。よって、テフロン加工=フッ素加工、ではありません。参考記事: 三井・ケマーズ フロロプロダクツ株式会社「フッ素樹脂テフロン™」