雪上焚火をゴールデンカムイ228話に学ぶ
物語が完結したり、映画化決定など話題になっていたマンガ、「ゴールデンカムイ」。ふだんほとんどマンガを読まない僕も夜な夜な読みましたよぉ。めちゃ面白かったです。
で、読んでいて、「わ、これ、キャンプにめっちゃ使えるじゃない!」という回がありました。
第228話です。
本作品の主人公のひとり、杉元が極寒のなか仲間たちとはぐれ、一人で焚き火でサバイブする話なのですが、雪中キャンプでの困りごとの一つ、「雪上で焚き火をすると、雪が溶けて沈下してしまう」に対しての回答が示されているんです。
沈下した焚き火。こうなるともうほとんど暖かくありません(「恩原高原に雪中キャンプに行ってきた ’22」)
彼がサバイブした方法はこうです。
- 燃えにくい種の木(作中ではナナカマド)を丸太にして雪の上に並べる
→ 遮熱板の役割を果たすため、下の雪に熱を伝えない - 木の灰(作中ではカツラの皮を燃やし灰をつくった)、または砂などを1の上に敷く
→ 雪上に並べた丸太が燃えにくくなる - 生木を焚べて暖をとる
→ 乾燥した薪だとすぐに燃え尽きてしまう。生木は煙がたくさん出るが、長時間燃えるので睡眠中に薪を追加することが少ない
このうち、1と2を図にするとこうなります。そしてそれを強化したものが下図。
(強化版と大げさに書いてますが、単に重ねただけですね笑)
これまでの雪中キャンプでも焚き火の下に太めの薪を敷いてはいました。ただ、すぐに燃えてしまい、数時間もすると焚き火が遥か下方に鎮火してしまってたんですよね。
この下に敷く薪を、燃えにくい木にすればいいという超絶シンプルなアイディア、なぜ気づかなかったんだろう? 灰や砂はすぐに入手できるから、次回から早速実行だ!
……で、が、しかし、燃えにくい木って何だ??
燃えにくい木
検索して調べたところ、シラカシ、サンゴジュ、クロガネモチ、ヤマモモ、ナナカマド、シャリンバイ、モチノキ、キョウチクトウあたりが燃えにくい木とのこと※1。
次にこれらの木が日本のどのあたりに生息しているのか、そもそもどんな木なのかを調べます。
樹木名で検索すると、「庭木図鑑 植木ペディア」というネーミングもコンテンツも素晴らしいウェブサイトが実に細かく紹介してくれていました。
というわけで、植木ぺディアさんから写真と情報を一部変更して引用させていただいています。加えて、異様に山や木のことに詳しい知人、山本福壽氏※2から教えてもらった情報も併記しました。
U = 植木ペディアさん
Y = 山本福壽氏
U: 福島県及び新潟県以西の本州や四国、九州に分布するブナ科の常緑高木。関東地方や中部地方では低山や平野部に多く、西日本では川沿いを中心に生じる。Y: 暖地の里山に多い。庭木にもある。
U: 関東地方南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するレンプクソウ科の常緑広葉樹。自生は沿海地域の砂地に多く、丈夫な性質を持つため各地で庭木としても盛んに使われる。Y: 里山にあるが、庭木としても多用される。
U: 東北地方南部(福島県)以南の本州、四国、九州及び沖縄の山地や海辺の林内に自生する常緑樹。派手な庭木が増えた現代においてその知名度は低いものの、日本庭園には欠かせない植木であり、モッコク、モクセイと共に「庭木の三大名木」とされる。Y: 鳥取市の山で多く見かける。
U: 北海道から九州までの深山に分布するバラ科ナナカマド属の落葉樹。春の芽出し、新緑、秋の紅葉、雪中に残る赤い果実と四季を通じて見所があり、北国では街路や高速道路沿いに植栽されることが多い。Y: 蒜山などのやや標高の高いところの広葉樹林に比較的多い。
U: 中国及び日本を原産地とするヤマモモ科の常緑樹。千葉県以西の温暖な低地に自生し、西日本の太平洋沿いではごく普通に見られる。葉が密生し丈夫であることから、マテバシイなどとともに街路や公園、防風林に数多く植栽されている。Y: 出雲より西。四国や九州に多い。鳥取には寒すぎて分布していないが、庭木、街路樹として植えられている。
U: インド~中近東を原産地とする常緑樹。枝、花、葉に毒(オレアンドリン等の強心配糖体)を含み、誤食すると頭痛、嘔吐、下痢、意識障害、幻覚、心臓麻痺を起こし死に至ることもある。本種の枝を箸や串として使い、死亡事故につながった例がある。Y: 強烈な外来の有毒物質。口にすると死を招く。燃やしても煙が毒で危険。触らないほうが賢明。
U: 本州から沖縄まで幅広く分布し、庭木や公園に使われる。九州では自治体の木として指定されていることが多く、街路樹としてさかんに利用される。Y: 里山にあるが、庭木としても多用される。
U: 東北地方南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するバラ科の常緑樹。自生は暖地の海岸近くに多く、日本以外でも東南アジアや東アジアにかけて広い範囲に分布する。Y: 鳥取には海岸にあるが、小さい。庭に植えられているのを見る。
この一覧を見てまず分かるのは、キョウチクトウは絶対に使っちゃいけない、近づくのもNG、ということですね。
山本福壽先生曰く、シラカシ、モチノキあたりだと鳥取市内で見かけることが多いとのことなので、この2つを中心に探してみたいと思います。
もちろん、他人が所有する山に勝手に入って伐採はできないので、まずは山を所有している友人に声をかけるところから始めてみます。
進捗あれば、またブログで共有しますね。
・・・
(ゴールデンカムイ 228話のあらすじが気になる方は以下からどうぞ)
https://comiblo.com/sugimotojuken/
- GARDEN STORY
- 山本福壽氏。元鳥取大学農学部教授。鳥取大学乾燥地研究センター特任教授。鳥取県智頭町在住。