鳥取市の無料耐震診断結果を聞いてみた
先月、築50年超の我が家の耐震診断をしてもらいました。その結果が出ましたので共有いたします。
結論を一言でまとめますと、我が家は基準※1に適合していないと判断されるとのこと。まあ、分かっていたことですが。
もう少し詳しく見ていきます。
診断結果
耐震診断は「上部構造」、「屋根ふき材等及び建築設備」、「建築物の敷地」の3項目について行われました。
まず上部構造、つまり家そのものの診断結果ですが、「地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い」とあり、また「各階の構造耐震指標等の値(Iw)※2」については、以下のような衝撃的な内容となっています。
階 | 方向 | 各階の構造耐震指標等の値(Iw) | 判定 |
---|---|---|---|
2F | X方向 | 0.89 | 一応倒壊しない |
Y方向 | 0.69 | 倒壊の可能性有 | |
1F | X方向 | 0.84 | 一応倒壊しない |
Y方向 | 0.14 | 倒壊の可能性大 |
目を引くのは、1FのY方向の揺れに対するIw値「0.14」という数字です(「Y方向」については後ほど説明します)。この値をどのように評価するか、が以下の表。
構造耐震指標 | 構造耐力上主要な部分の地震に対する安全性 |
---|---|
Iw < 0.7 | 地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い。 |
0.7 ≦ Iw < 1.0 | 地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある。 |
1.0 ≦ Iw | 地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い。 |
目安となるのがIw値=0.7。Iw値が0.7以上で倒壊の危険性が減少するが(診断士の方は、倒壊の有無や程度というよりも「生命に危険が及ぶ確率が下がる」という言い方をされていました)、0.7未満の場合、倒壊または崩壊の危険性が高いということになります。
我が家のIw値は1F、2FでX方向、Y方向ともに1.0を満たしていません。X方向の揺れに対しては1F、2Fともに0.7以上ではあるものの、Y方向については2Fが0.69、1Fに至っては0.14と非常に弱い状態であることが分かりました。弱いことは分かっていましたが、この低すぎる数字を見るとさすがにショックを受けますね。
ちなみにこのX方向とY方向ですが、地震の揺れを2つに分けて、それぞれの揺れに対する強度を測るためのもの。我が家の場合、住宅を正面から見て縦(手前から奥。下図では上下)をX方向、横(左右)をY方向として診断しています。
この図で分かるように、両隣に面した壁には窓が一切ありません。こちらがX方向。一方、前面道路(上図上部)や庭に面する側、つまりY方向は窓だらけ(1Fはほぼ全て窓)。ゆえにX方向とY方向にこれだけの強度の違いが生じているわけです。
残る「屋根ふき材等及び建築設備」、「建築物の敷地」の2項目については該当事項無しということでした。
耐震補強工事
僕たちのように耐震診断を受け、「危険」と診断された者に残された選択肢は、
- 引っ越す
- 耐震補強工事を受ける
- そのまま住み続ける
の3つです。
診断士の方の話では、耐震診断を経て実際に補強工事を受ける人は一割ほどだそう。
「もう歳だから、大きなお金をかけて直すのはもったいない」「今まで大丈夫だったのだから、これからもきっと大丈夫だろう」
という理由(言い訳)で工事をしない人が多いそう。その気持ちは痛いほど分かります。ただ我が家には幼い子どもがいますし、補強工事はしておきたい。
しかし問題になるのはその費用。
診断士の方の報告書には、耐震補強工事の概算見積もりの記載があり、ざっくりとした内容になりますが、本設計が30〜40万円、工事費用が230万円で、合計260〜270万円でした。
耐震補強工事の概要
決して安い金額ではありませんが、新築程度の費用がかかると聞いていたのでやや拍子抜けしたのも事実。
またこの費用は、全てのIw値を1.0以上にする工事にかかる費用であり、部分的な補強工事、例えば極端に弱い部分(我が家の場合は1FのY方向)だけを0.7以上にするといった工事であれば、当然費用はより低く抑えられます。
でもこの場合、1Fの強度は基準を満たすけれど、2FのY方向が0.69のままなのでやはり脆弱さが残るのではないか、と考えてしまいます。しかし診断士の方によると、部分的に補強することで、工事していない他の部分についても強度が高まることは往々にしてあることのようです。仮に1FのY方向の揺れに対する強度を0.7以上にするためだけの工事でも、それに伴って2FのY方向のIw値も0.7以上になるのではないか、とのことでした(確実ではありませんが)。
そして鳥取市に申請すれば、設計や工事に対してそれぞれ補助金が受けられる可能性があり、更に負担を下げることができるようです。
その補助金ですが、設計に対して12万円、耐震改修に対しては100万円となっており、合わせると112万円とかなりの額です。もちろんこれは上限額なので、我が家が全額受けられるかどうかは確認してみないと分かりませんし、計画する工事の内容や費用によって異なってくると思われます。
いずれにせよこれを利用しないテはないわけで、思わずその場で設計と工事の契約を進めようとした僕でしたが、「補助金交付決定以前に契約、着手したものは補助の対象になりません。」とのこと。まずはしっかりとこの補助事業の内容についてじっくり確認する必要がありそうです。
一連の「耐震診断を受けてみた企画」は今回で最終回の予定でしたが、引き続き、耐震工事の検討等を進めていきたいと思います。
- 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第6条に規定する耐震関係規定又は地震に対する安全上これに準ずるものとして国土交通大臣が定める基準(平成18年国土交通省告示第185号)
- Iw:各階の張り間方向又はけた行方向の構造耐力指標