お古について考えてみた
先日、自宅に届いたPatagoniaのカタログに、こんな写真が掲載されていました。
赤いジャケットを着た女性が、手に1枚の写真を持っています。その写真に写っている男性も赤いジャケットを着、そして背中に子どもを背負っています。
そう! 女性が着ているジャケットは、手に持った写真の中の男性、つまり彼女のお父さんのお古なんです(もしかしてニットキャップも?)。
とても素晴らしい写真だと思いませんか? ロマンチストな僕は、これを見た時、すごくジーンときました。
新しいものを清潔で、ことさら良いものと評価する日本にあって、お古やお下がりといった言葉にはややネガティブなイメージがありますが、「受け継ぐ」という言葉に置き換えると、ちょっとイメージが変わります。
以前このブログでも紹介した書籍、「一生ものの、山道具」の中にも、父の形見としてコッヘルを愛用する方のエピソードが出てきます。心がほわっと温まります。
僕がBarbourを買った時も、頭のどこかで、いつか自分の子どもがこれを着てくれたらいいなと思っていました(今のところ、うちは女の子ひとりなので、油臭いBarbourのオイルドジャケットを着てくれるかどうかは分かりませんが……)。
高価なもの、希少価値の高いものというわけではなく、もし安価であったとしても、大切に使われてきたものを受け継いで、使い続けていくというのは素敵なことですよね。
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お古として譲り、それを受け継いで使い続けるためには、もの自体が丈夫なことも当然ですが、修理できる、というのも大きなポイントだと思います。
現代においては、修理よりも新品を買ったほうが安いということも多くて、「どうせそんなにコストも変わらないうえに直るのを待たなきゃいけないんだったら、新しいのを買っちゃおうか」となってしまうのも致し方ないところなのかも知れません。
PatagoniaのWORN WEARのように大々的なプログラムとしてリサイクルやリペアを実行しているメーカーはあまり多くはありませんが、ふつうは依頼すれば受け付けてくれるでしょうし、傷んだら直すという選択肢を考えてみたいですよね。
(その前に、傷んだら直そうと思えるものを買うことが重要ですよね)
僕の場合、ミシンを買っているので、ハイテク素材を用いた防水シェルなどは除いた、一般的な衣類はもちろん、テントやタープくらいのキャンプ道具は、自分で修繕できるようにスキルをアップしていきたいですね。
Patagoniaは海賊シーシェパードのスポンサーですよ。。
chopさん、コメントありがとうございます。
Patagonia、確かに過去に二度ほど、Sea Shepherdに寄付してますよね。Sea Shepherdが実現しようとしていることに賛同し、支持することも表明しているようです。
僕もSea Shepherdを支援・支持しているPatagoniaの企業としての考えや行動が気になり、製品を買っていない時期がありました。
* http://camp-house.sakura.ne.jp/blog/mountain-hardwear-strech-ozonic-jacket/
その間、Sea Shepherdの組織や彼らがやろうとしていること、日本の調査捕鯨、捕鯨に関する世界的な動向や評価など、それほど多くはありませんが、時々、関連情報を読んだり、それについて考えてきました。現時点では、捕鯨について何が正しく何が間違っているか、僕の中に明確な結論はありません。難し過ぎて……
Sea Shepherdについては、暴力的な態度、行為に特に問題があると思っていますが、Patagoniaのスタンスとしては、目的は理解・支援しつつも、時に暴力的ともいえる直接的行動そのものを評価しているわけではないと思います。そして、捕鯨を中止するべきだという考え方を支持することは、Patagoniaの自由です。
Patagoniaは、日本法人だけでも、昨年(2016年)一年間で43の団体を支援したと発表しています。また彼らは、毎日の売り上げの1%を、主に環境保護を目的として活動する団体に寄付していますし、フェアトレードを推進し、彼らの製品を産む工場の労働者が適切な報酬を得られるよう行動しています。
暴力的な手段を辞さない一つの団体を支援・支持していることは間違いのない事実ですが、それ以外の、価値のある行動・活動をしている団体を支援していることも注目し、評価するべきだと、今は思っています。
PatagoniaがSea Shepherdに寄付した過去があること、現在も理念や活動を支持していることで、彼らの製品を購入しないようにしている人たちがいることは、過去、僕もそうだったこともあって理解できますし、それが間違っているとも思いません。
ただ、それと同じように、彼らの製品を買うことが間違いだとも思っていません。
製品やサービス以外の物事を通じて社会的立ち位置や関わりを明確に表明する企業は、それほど多くないと思いますが、僕たちが何かの製品・サービスを購入、利用する場合の判断材料として、すごく重要なものだと思っています(例えば、一般家事家電のメーカーが、軍事用ロボットを開発しているために、そのメーカーの製品は一切買わないという立場をとっている友人がいます)。
とはいえ、自分がとるあらゆる消費行動に対して、同様の情報収集、考察、判断ができているかといえば全くそうではなく、自分に足りていない部分だなと日々考えさせられている次第です。