候補地に建っている農作業小屋をどうするか
PLUS CASAの小林さんたちが調べてくれた情報を携えて、次の週末、トム(妻)の実家に飾ってあるお雛様を見がてら帰省してきました。
今日の話し合いの最大のポイントは、キャンプハウス候補地内に建っている農作業小屋を、新築計画の中でどう扱うか?という点です。トムの祖父母が現在も同土地内にある畑や果樹園で農作業を楽しんでいて、この小屋には農機具その他さまざまな道具や古い家具、雑貨が収納されているのです。
農作業小屋として使っているとはいえ、大きさはふつうの住宅並み(しかもこれ、祖父が仲間と一緒に建てたものだというから驚きです)。
話し合いは意外な出だし
「あの土地に家を建てる件なんだけど、、、」
トムがそう切り出すと、祖父が
「やっぱりあの土地に家を建てるのはいけんわ」
祖母もトムの母も
「あの土地はなぁ、、、」
と口を揃えます。
固まる僕とトム。
そして、いつもは寡黙な祖父が昔の話をし始めました。
苦労に苦労を重ねた時代
父(祖父の父)が生まれた集落から出て、Aという町で電気工事の会社を始めたのは祖父がまだ幼い頃だった。会社は軌道に乗り、従業員も増え、順風満帆なところに戦争が起きた。父や従業員の多くは戦争に行き、帰ってこなかった。
(祖父の)母、祖父と兄弟たちはA町では暮らしていくことができず、集落に戻ることにした。だが、祖父の父はその集落を出る際に財産を弟にすべて譲っていたので、住む家も土地もない。弟は祖父の母に、集落から少し離れた土地(キャンプハウス候補地の一部)を与えた。そこには畑も田んぼはもちろん、家も道路もなかったので、祖父の母は小さな小屋を建て、畑をつくって何とか祖父たちを育てた。
祖父たちが成長して大人になってから、家を大きくし、少しずつ土地を買って畑や田んぼを増やし、井戸を掘って生活用水を確保し、道路をつくって畑や田んぼ、集落へアクセスしやすいようにした。
言葉にすれば簡単なように思えるが、実際これを自分たちの力だけでやろうと思ったら、並大抵の努力ではできない。本当に苦労して生きてきた時代だった。
反対した理由
だからこそ、水道も下水も通ってなく、集落からも離れたあの土地に住むことで、自分たちがしてきた苦労をお前たちにはさせたくない。
祖父たちが反対した大きな理由はこれでした。きっと、前回の話し合いのあと、僕たちが帰ってから祖父母と母たちで話し、いろいろ心配してくれたのだと思います。
もう一つの理由は、aw家の長男である僕が、トム家の昔ながらの土地に家を建てることをawの両親がどう思うか、ということを心配してくれたようです。
僕たちの考えを伝える
それを受けて、僕たちはあらためて、あの土地に家を建てたいと考えていることを伝えました。
上下水道は、必要なら上水道を引くことも可能だし、井戸を掘って水を汲むこともできる。合併浄化槽を利用すれば、排水についても問題ないこと。また、awの両親にはすでに話をしていて、僕たちが望むところに住めばいいと言ってもらっていることなどを話しました。
僕たちが具体的な対策や、行政に相談した結果(上水道の費用が自己負担になること、合併浄化槽には補助金が出ることなど)をふまえ準備を進めていることを知った祖父母たちは、
「そこまで考えて準備を進めているなら、それに上下水道も問題ないようなら、反対する理由はもうないな」
と言ってくれました。そして、
「小屋も、畑も、果樹園も、お前たちのやりたいようにやればいいよ」
と。
「きっといい家を建てる」
僕は帰りの車を運転しながら、そう強く誓いました。トムもはじめて聞いたという祖父母の苦労した時代を知ることで、ますますあの土地を受け継ぎたいと感じたし、キャンプハウスが建つことで再び家族があそこに集まり、みんなで時間を過ごせたらどんなに素敵なことだろう、と思ったのです。