蚊除けについて調べてみた
暖かくなってくると、アウトドア好きピープルや犬を飼う人にとって気になるのが蚊。キホン、Tシャツ短パンといった軽装が好きな僕は、待ってましたとばかりに無対策で肌を露出し、結果、蚊に刺されまくる※1わけですが、今年はちゃんとした忌避剤が欲しいと思っています。
なぜならば、ちかぢかフィリピンに仕事で出かける予定で、行き先にはカモテス諸島やパンガシナンといった自然豊かな(自然しかない)地方も含まれます。となると注意すべきは、同じ蚊でも、刺されるとデング熱やジカ熱、マラリアといった非常に恐ろしい感染症にかかるリスクがあります(その他、蚊を媒介するわけではありませんが、彼の国ではA型肝炎や狂犬病、ポリオ、結核、麻疹などの感染症に注意・対策が必要です※2)。
非常にビビりな僕なので、まず洋服を当初の計画:Tシャツ短パンから、長袖長ズボン(白っぽいカラーのもの)に変更するつもりですが、さらに蚊除け(忌避剤)も入念に選んでおきたいと思います。
トム(妻)は蚊に刺されると数日痒みが続くそうで、家の中に蚊がいると大騒ぎするんですが、僕はほんの数分で痒みも赤みも引いてしまう体質なため、刺されても「あ、刺された」ぐらいで、これまで忌避剤についてきちんと調べたり選んだりしたことがなかったんですよね。
代表的な3つの成分
蚊除け、虫除けといったワードで調べてみると、3つの代表的な有効成分の情報が見つかります。
ディート、イカリジン、ピレスロイドです。
ディート
ディート(DEET、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)は虫除けの有効成分の中でもっとも多くの製品に使われています。
ディートは1946年に米軍が軍事用に開発した化合物で、およそ10年後の1957年に一般の製品でも使用が開始されるという、かなり長い歴史を持っています。
蚊をはじめとして、ダニやヒル、ナメクジなどにも有効だとか。ヤマビルに襲撃された経験のある僕には嬉しい効用です!(笑)
日本で発売されている忌避剤はディートの含有率が最大でも12%でしたが、2016年に30%の製品が第二類医薬品として承認されたことで、現在ではより強く、より長く効く製品が販売されています。
ただし、人によってはアレルギーや肌荒れを起こしたり、連続大量使用によって人体に害が生じる可能性も指摘されているため、以下のように年齢によって使用回数が定められていることに十分な留意が必要です。
乳児(生後6か月まで) | 使用禁止 |
---|---|
6か月以上2歳未満 | 1日1回 |
2歳以上12歳未満 | 1日1〜3回 |
またディートはプラスチックを溶かす性質を持っています(30%よりも高濃度の場合、のようですが)。ゆえに衣類やバッグなどを着用した状態でスプレーすると影響が出る可能性があり、注意が必要です。
代表的なディート30%の虫除け
イカリジン
子どもを中心に使用回数の注意が必要だったり、皮膚刺激性が懸念されるディートに代わる化合物として21世紀になって登場したのが、ドイツはバイエル社が開発したイカリジン(Icaridin)です。ん? 怒り人? …と勘違いして、逆に覚えやすい名前ですよね(笑)。
イカリジンは先述のディートが持つ欠点とも言える特徴がないうえに同等の効果があり、世界保健機構も「ディートよりオヌヌメ」と言ってるとか。
イカリジンの害虫忌避剤としてのポテンシャルを引き出すには20%かそれ以上の濃度が必要になるようで、7%だと蚊(デング熱を媒介するヤブカなど)には効果がない、あるいは効果の持続時間が短いといった報告があります※3。
ところが日本で発売されている蚊除けには、最大でも15%しかイカリジンが含まれていないため、今回の渡比時での使用には不安が残ります。
ピレスロイド
最後の一つ、ピレスロイドは虫を忌避するのではなく殺してしまう、いわゆる殺虫成分です。
我が家でも愛用している蚊取線香をはじめ、さまざまな殺虫スプレーで使用されている成分で、現在は化学的に合成されてつくられていますが、もともとはスイスの化学者がシロバナムシヨケギク(除虫菊)に殺虫成分を発見し、農薬や忌避剤としての活用が世界的に広まったという歴史を持っています。
人体に対しては毒性は低いとされていますが、この成分を体や衣類に直接吹きつけて/塗りつけて使う製品というのは無さそうですね。
もし使うとすれば、このようなタイプの製品を腰に吊るしておく、という感じでしょうか。
結論
というわけで結論ですが、使用期間が限定的で短期+できるだけ強力な忌避能力が必要となるフィリピン出張にはディートが30%含有されている製品を(それ以上の能力を持つ製品が現地で売っていれば入手してもいいかも)、日本で使用する場合はイカリジンを使った製品を、という感じで使い分けてみたいと思っています。
- Jタウンネット「「蚊に食われる」「かまれる」は方言? 「刺される」は都会人?」」
- 外務省 世界の医療事情「フィリピン」
- Wikipedia「イカリジン」
参考記事
- アース製薬「ディートとは」
- 医薬品管理センター「虫除け剤って便利だけど・・・」
- KINCHO「イカリジンって何?」
- ルアマガプラス「最強の虫除けスプレーが決定! 成分や選び方をシーズン前に要チェック!」
- WEATHER NEWS「殺虫剤が人に害のない理由」