「一生ものの、山道具」を読んでみた
先日、洋服屋さんをウロウロしていたら、洋服と一緒にこんな本が置いてあり、思わず買ってしまいました。
一生ものの、山道具
登山やトレッキングなど、アウトドアを愛する女性たちが、様々なきっかけで出会った道具たちを、アウトドアではもちろん普段の生活で使っていくなかで「あ、このコときっと一生付き合っていくんだろうな」と感じた道具を「一生もの」とし、一点ずつ、エピソードと一緒に紹介するこの本。
出版やイベントを中心に活動している編集者やカメラマンのユニット「noyama」や、アウトドアブランド「and wonder」のデザイナーだったりと、クリエイティブなお仕事をされている方の著作だけあり、おしゃれで、雰囲気のある仕上がりです。
添えられるエピソードも、いちアイテムあたり原稿用紙一枚ちょっとくらいの読みやすいボリュームなので、チョイ読みにもぴったり。
特徴的なのは、アウトドアの道具の本には珍しく、素材や機能などのスペックに加えて、道具を選んだ時、使う時などのストーリーが紹介されていること。
例えば、L.L Beanのバッグについては、
まだ日本にショップがなかった頃、14歳だった夫がわざわざアメリカから購入したものらしい。ネットもメールもない時代。時差を考えてファックスしたり、つたない英語で電話をしたりして手に入れたという思い出の品だ
ランタンのページでは、
野外で過ごす夜は、暗ければ暗いほどいいなあ、と思っている。せっかく外に出て自然に囲まれているのだから、煌々とした光の下にいるのではなく、闇というものを楽しみたい
お気に入りのジャケットでは、
これを着ていると高橋さんがときどき「ビートたけしが建設現場のおじさんのまねをする時の服」などとふざけたことを言ってくるけれど、そこは軽やかに無視
そして、とてもいいなと思ったのが、
なによりも、自分が気に入ったものを身につけて歩くのは理屈抜きで、すごく気分がいい。おしゃれをすること。それはときにどんな高性能よりも幸せな気持ちをくれる
彼女たちの道具への深い愛着や、使っている時の楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
紹介されている道具たち
テントやジャケット、ナイフまで。紹介されている60強の道具たちはどれも魅力的で、眺めているとふつふつと物欲が(汗)。
そして、その中には、僕が愛用するものも幾つか含まれていました。
例えば、バウルーのホットサンドメーカー。
例えば、LODGEスキレット。
他にも、snow peakのバーナー「地」やバブアーのジャケット、ポーレックスのミルなどなど。やはり、老若男女問わず、良いものは良いんですね。
(勝手に想像して)じーんとしたところ
本の最後に、「一生買えない、わたしの宝物。」と題した著者たちの宝物が紹介されています。
その中で紹介されているしみずまゆこさんの「父の形見のコッヘルセット」。長年大切に使い込まれたであろうことが分かる写真とともに、「父が生前に使っていたコッヘル。3つセットのはずが、父が大きさの合うボウルをひとつ加えていたみたいです。」の一文があります。
これは僕の勝手な想像ですが、しみずさんのお父さんが一人の時、結婚されて二人になった時、子どもが生まれて3人になり、4人になり。時を一緒に刻んできたコッヘルセットが家族の人数分をカバーできなくなった時、ぜんぶを新しいものに替えて歴史を途切らせるのではなく、そこに必要なものだけを追加して大切に使いつづける。その光景がとても美しいものに見え、まるで家族が増えていくようだなあと、勝手に感動してしまいました。
僕も自分の道具たちと、そんな付き合い方をして行きたいなあ。
外に出かけたくなります
登山にオススメの山が四季別に紹介されていたり、彼女たちのアウトドアアクティビティが少し紹介されていたりはしますが、基本的にはタイトルのとおり、道具の本。
でも、手にしてページをめくっていると、「俺も自分の道具たちと外で遊びて〜!」と、出かけたくなるんですよね。やっぱり道具は、眺めているだけのものじゃなく、使ってやるものだから。
今年も泊りがけのキャンプはあまり何度もできそうにありませんが、そのぶん、トム(妻)と子どもと一緒に、低山のトレッキングなどにはできるだけ出かけてみたいなと思っています。