古い家の冬対策 – 寝室編
今年の鳥取はよく雪が降ります。去年のようなドカ雪はありませんが、気温が低く、毎日のように雪が舞っています。
そんななか、僕の頭の中の70%くらいの領域を占めているのが、家の防寒対策です。
T町ハウスに暮らすようになってから初めて迎える冬、本当に寒いんです!
先日の記事にも書きましたが、朝起きて2階の寝室から1階の台所に降り、室温計を見ると、なんと0度! 暖かい日でも2度や3度です。
ある日の昼下がりの台所の室温
もちろんこれは台所だけじゃなく、家全体に言えることで、居間として使っている和室や寝室も室温は一桁が基本です。トイレや風呂へと続く庭に面した廊下、マシューが寝ている縁側などは外気温とほぼ同じです(マシューは電気マットでほかほかのハウス内で寝ていますが)。
古い家、しかも一軒家は寒いとは思っていましたが、こんなに寒いとは……舐めてましたね。
もう本当にいつも外にいるみたいで、いくらキャンプハウスを理想の家とする僕でも、毎日雪中キャンプは辛いです(笑)。
体温の低い状態が続いて風邪にかかりやすくなったのか(*)、雪中キャンプから帰った翌日、熱が出てぶっ倒れてしまいました。熱を出した日の夜中、トイレに行こうと庭に面した廊下を歩いて、そのあまりの寒さに死ぬかと思いました(本当に)……。
しかし、ここまで寒い思いをしても、これまでやってきた対策としては、暖かい服装をするという実にシンプルなもののみ。
トム(妻)は起きている時はもちろん、寝ている時も上下、インナーダウンを着用しています。僕も日中、T町ハウスで仕事しているので、着用しています(しないといられません)。
着て暖かくするという寒さ対策は、家の中でも外でも、仮に引越しても使える方法なので、暖房器具や家電を買うとか、家に手を加えるよりも先に、まずやってみるべき対策だなと思います。
しかし、暖かい洋服を着るというだけでは、T町ハウスのような古い家の場合、まったくもって足りません。
今後しばらくはここに暮らす予定なので、家そのものに対してできる対策も検討中。昨年実施したお風呂の改修も、寒さ対策の一つです。
ただ、家全体を暖かくすることは効率的ではないし、実施方法の前提が「僕のDIY」なので無理がある。そんなわけで、まずはひと冬過ごし、どの部屋にどのような対策が必要かをきちんと見定めて、優先順位を設定する予定でした。
まだその「ひと冬」は終わっていませんが、T町ハウスでの生活サイクル、部屋ごとの使用状況やそれに伴う優先順位などがだいたい決まってきたし、そして何よりあまりにも寒いので、できることは実行に移していこうじゃないかと。
今回はその概要と、実施した一部の防寒対策をご紹介します。
住宅の防寒(断熱)対策
防寒対策を具体的にはじめるにあたって、「家の防寒対策ってどうやってやるんだろう」というかなり基本的な疑問が湧いてきました。
家を建てたこともなければ、リフォームなどで断熱化したこともなく、僕の頭の中には、ふんわりとしたイメージしかないことに気づいたわけです。
防寒対策=断熱化に関する知識は、夏場は室温40度以上にもなるT町ハウスでの暮らしにおいて、一年を通じて役に立つはず。
そこで、基本的な情報から学んでみることにしました。
経済産業省の資源エネルギー庁のホームページを見ると、「断熱」「日射」「気密」という3つのアプローチで、住宅の室温を変動させない(省エネ住宅化)とあります。
要するに、暖めた空気(夏は冷やした空気)を家の外に出ていかないようにし、また、太陽光を冬は取り入れ、夏は遮蔽するということです。
T町ハウスの冬を考えた場合、もともと日当たりは良くないので「日射」に関するアプローチをとれることは少なそう。
そこで注目すべきは「断熱」と「気密」になります。
では、どこをどう「断熱」化し、「気密」性を高めればいいのか。これを知るためには、どこから熱が放出されているかを知る必要があります。
以下は、経済産業省の資源エネルギー庁のホームページに掲載されていた画像です。分かりやすかったので、転載させてもらいました。
画像出典:(上2点とも)経済産業省 資源エネルギー庁
上の図を見ると、冬場で48%、夏場で71%も、開口部=窓から熱が出入りしていることが分かります。さらに外壁は冬19%・夏13%、屋根(天井)から冬6%・夏9%なので、これら3つの要素を足すと冬は73%、93%に。
つまり「窓」「壁」「天井」の3つに対策をすれば、70〜90%の要因に対して断熱化ができることになります(流出する熱を70〜90%減らせる、という意味ではありません)。
この3要素に対する可能な限りの断熱化を実施し、エアコンなどの暖房器具の導入も平行して検討し、進めていく。
これを基本方針とし、ふだんの生活の中で利用する居室に優先順位をつけ、個々に何ができるかを検討、断熱化を実施していきたいと思います。
寝室
平日、僕を除く家族が自宅の中で一番長く時間を過ごす部屋は、寝室です。
0:00 | 6:00 | 8:00 | 17:30 | 21:00 | ||
睡眠 | 朝食 | awひとりで仕事 | 夕食 入浴 |
睡眠 |
上のチャートは、aw家の平均的な平日のスケジュールです。グレーが寝ている時間、黄色が家族3人で過ごす時間、薄いグレーが僕がひとり、T町ハウスで(つまり在宅で)仕事をしている時間です。
起きている時間は5.5時間、寝ている時間は9時間です。
時間の長さという観点で言えば、まず手を入れるべきは寝室となります。
やっぱり眠る時くらい、暖かいところで眠りたいですよね。
1.ふとんを新しくする
暖かく眠るためにはじめにやっておくべきこと、「 ふとんを新しくする」は、済ませました。
以前使っていた羽毛ふとんの方が、立体二層構造のツインキルトで、羽毛量も多かったのですが、ひとつは10年前、もうひとつは4年前に買ったもので、かなり嵩(かさ)が落ちてきて暖かさが減っていたんですよね。
クリーニングに出せばかなり回復しますが、ふとんは消耗品と捉え、一新しました(古いふとんは、そのうちクリーニングに出して、来客用として保管しておく予定)。
かなりお手頃な価格ではありましたが(*)、やはり、新しい羽毛ふとんは暖かい! もうこれだけで特にやることないんじゃないの? と思ってしまうほど暖かいですが、ふとんを出ると寒いので、やはり最低限のことはしておきたいなと。
(オススメ)
続いて、「断熱化」「気密化」の対象となる3要素、「窓」「壁」「天井」のうち、「天井」に手を入れます。2階にある寝室の天井とはすなわち、屋根裏ですね。
2.屋根裏に断熱材を入れる
まず、屋根裏に断熱材が入っているかを確認。
当然のことながら、ものすごいホコリ以外、何もありませんでした。
正しいのかどうなのか、よく分からない柱の組み方がしてある屋根裏
寝室は4畳半=2.5坪なので、ホームセンターで必要な量のグラスウール製の断熱材を購入。
1枚598円、7枚購入して4,186円でした。
これを寝室の天井に当たる屋根裏に、なるべく隙き間のないように敷き詰めていきます。隅の方は空間が狭くなっていて作業しづらいので、長い棒があると便利です。
仕上がりはこんな感じ。
非常に寒い2月のある日に作業しましたが、終わったあとは汗だくでした。
断熱材を敷く作業に関わらず、屋根裏での作業時に必要なものを備忘録としてリストしておきます。
- 軍手
- ヘッドライト
- マスク
すごいホコリで、歩くとそれが舞い上がるので、マスクは必須です - 帽子
狭い屋根裏で作業していると、柱に頭をぶつけがち。T町ハウスの屋根裏はこんなものが飛び出しまくっている危険地帯でした……
- 長い棒
天井が低くなっている部分など、体を入れて作業しづらい場所などで使います
3.窓からの温度の流出を抑える
続いては、「窓」。
寝室の窓は出窓になっていて、外側にアルミサッシのガラス窓(もちろん1枚)があり、出窓の室内側に障子が付いています。
2階で寝はじめた頃は、ビリビリに破れた障子を直すのが面倒だったこともあり、見栄えが悪いので取り払ってしまっていたのですが、障子紙を貼り直して防寒のために再度設置してみたら、暖かさが全然違うことに驚愕しました。障子が冷気を出窓部分に閉じ込めてくれているようです。
調べてみると、障子の断熱性能はカーテンよりも高く、また湿度を調節して結露を防いでくれるなど、非常に機能性の高いインテリアとのこと。おみそれしました。
さらに、障子の手前に、断熱にくわえて遮光の目的も兼ねたロールカーテンを下げています。
ゆえに窓際は、ガラス窓(出窓)、障子、ロールカーテンの三層構造。
障子だけでも全然違いましたが、ロールカーテンを入れることでさらに窓からの冷気の侵入を防げている気がしますね。
あとここに何かをするとすれば、ガラスに断熱用のシールを貼るといった内容になりますが、ひとまずこの状態で様子見しています。
4.壁を板張りにして、断熱材を入れる
「窓」「天井」「壁」の3要素のうち、残るは「壁」です。
寝室は階段室に面しています。寝室と階段室を隔てる壁は昔ながらの砂壁で、それ自体はまあいいのですが、柱と壁の間にわずかにすき間があって、階段室の冷たい空気がかすかに吹き込んできます。
寝ていると、この空気が顔などに当たって結構寒いんです。
そこで、壁一面に板を打ちつけて板張りにします。板を打ち付ける柱は砂壁よりも2センチほどツラが高くなっているので、砂壁と杉板の間に空間が生まれます。そこに断熱材を押し込むことで、隙間風をシャットアウトし、壁の断熱性能を上げられないかと考えています。
画像出典:TAKARA CONSTRUCTION
いや、もちろん、こんなに格好よく仕上げられるハズないんですが、いちおうイメージです。。
ざっと試算したところ費用は2〜3万円ほど。材料もすべてホムセンで調達可能なものばかりなのですが、ふだん寝ている部屋の壁を大々的にイジるわけですから、作業期間中は寝る場所を変えるか、日中で終わるようなタイトめのスケジュールで実行する必要があり、現在は妄想で止まっています。
壁を新しくすれば、小さな照明、本や充電中のケータイを置くニッチを設けたりできるし、木の香りがするので、部屋を暗くして目を閉じれば新築の家で眠ってる気になれるんじゃないかなーと期待してるんですけどね(笑)。
5.エアコンの設置
これについては、冬場の寒さ対策というよりは、夏場の暑さ対策で導入を決定。
ただ、冬場の活躍ももちろん期待してまして、たとえばふとんから出たくないような寒い夜でも、最近ほとんどなくなったとはいえ、子どもが夜泣きして「抱っこ〜」となる可能性がなくもない。
こうなると、寒さに弱いトムでは対応が無理なので、僕が抱っこして寝付くまでユラユラするわけですが、さすがにふとんから出たままだと僕も寒いし、子どもも寝づらい。
そんな夜がもし来たら、エアコンの暖かさが身に沁みるハズ、です。
こちらの工事は今週中に実施予定。
今後、実施予定の対策
寝室の対策はこんなところです。
お次は、リビングとして使っている1階の和室で、ここについてはどのような対策ができるか現在検討中(エアコンだけは新しいものに取り替えます)。また進捗があれば、共有したいと思います。
今年は断熱化に加えて、T町ハウスの改造についてはいろいろと考えていることがあるので、この作業を通じて、少しでも大工仕事の腕があがるといいなあと思っている今日この頃です。
* 体温と風邪のひきやすさの関係(WIRED.jp)
* とてもお手頃価格ではありましたが、フィルパワー400、羽毛使用量1.5kg、使用率93%(フェザー7%)と、羽毛ふとん(シングル)に要求されるダウンの基準値を満たしていました。
* 省エネ基準の義務化でどう変わる? これからの住宅に求められるもの
* 暑さの7割寒さの6割は窓が原因なのに、日本の窓は中国の最低基準以下
障子、両面張にするとさらに暖かいですよ。
jkさん、コメントありがとうございます。
障子の両面貼り、確かにおっしゃるとおり効果高そうですね、さっそく試してみたいと思います。アドバイス、ありがとうございます!