loop earplugsのQuietを試してみた
(扉画像 出典:loop earplugs)
とあるPR会社から「loop earplugsのイヤープラグを試してみませんか」というメールが届きました。こうしたPR関連のメールはこのブログにも時々届くのですが、「え、なぜこのブログでその製品を……」というような内容がほとんど。
しかしイヤープラグ、つまり耳栓は、キャンプの必需品だと考えている僕にとって、この提案には興味がわきました。
現在僕が使っている耳栓は、Moldex(モルデックス)の6870で、遮音値(NNR※1)は33dB(デシベル)。これを装着すると、賑やかなグループキャンパーたちが近くにいてもOK、海辺では波の砕ける音、山中の野営では野生動物の鳴き声や息遣いを気にすることなく眠れるので、キャンプで非常に重宝しているのです。
画像出典: Amazon
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遮音値33dBと書いても「なんじゃそれ」となる人がほとんどだと思いますので、参考までに僕たちの生活における騒音レベルをdBの順に並べると以下のような感じになります(出典:日本聴力保護研究会「騒音レベルの例」)。
dB | 騒音の感じ | 実例 |
---|---|---|
140 | ||
130 | 耳の疼(とう)痛感 | |
120 | ジェット機の騒音 | |
110 | トンネル内で窓を開けた電車内 | |
さく岩ドリルの音(1m) | ||
100 | 耳をおおいたくなる | ガード下の電車通過時 |
地下鉄の駅通過時 | ||
90 | 目前の人と話ができない | 騒音の著しい工場 |
80 | よほどの声をはりあげないと、話ができない | 高架鉄道(車内) |
70 | 意識的に声を大きくして話す | 街の雑踏、普通の機械工場 |
60 | うるさい感じだが、普通に会話できる | 忙しい事務室内 |
50 | ざわざわと、いつでも音が耳について落ち着かない | 一般的な事務室 |
40 | 静かであるが、音からの開放感がない | 耳をすましている聴衆内、声を落とした会話 |
30 | 静かに落ち着いた感じ | 放送用スタジオ内、静夜中 |
20 | しーんとした感じ | |
10 | ささやき声 | |
0 | 防音室での最小可聴音 |
遮音値33dBの耳栓を使えば、例えば70dB相当の騒音(街の雑踏、普通の機械工場)という環境が、40dB(耳をすましている聴衆内、声を落とした会話)や30dB(放送用スタジオ内、静夜中)といった環境に変わるということになります。これはなかなか凄いですよね。
本当におすすめの耳栓! なのですが、Moldexには一点問題があります。
使い捨てであることです。
もちろん複数回、使うことはできますが、使っているとスポンジが固くなってきて耳に入れづらくなったり、フィット感が弱くなってきてしまうのです。
loop earplugs Quiet
その点、今回提案のあったloop earplugsのイヤープラグは繰り返し使えるし、遮音値も前出のMoldexに比べるとやや落ちるものの高いレベル。
これは試してみたい! ということで提案を受けることにしました。
僕が選んだのは、loop earplugsのラインアップの中でSNR※127dBともっとも遮音値の高い「Quiet」という製品。同社の中で一番手頃な価格の製品でもあります。
カラーバリエーションは6つあって迷いましたが、ケースの色が白のみぽかったのでそれに合わせて白(Zen White)を選択してみました。
画像出典:loop earplugs
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メーカーが提示するQuietの特徴としては以下のような感じ。
- 睡眠、集中、移動(電車、飛行機など)、ノイズ過敏な方におすすめ
- 外部の音をしっかり遮断して自分だけのスペースに:-27dBまでノイズを低減
- 洗えていつも清潔に。繰り返し使用可能
- とてもソフトなシリコン使用
- 様々なサイズの8つ※2のシリコン製イヤーピース入り。自分にフィットするサイズが見つかる
- 電子機器なし。パッシブ聴覚保護
- 落ちにくく、突き出ないデザイン。心地よい装着感
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このうち僕が重視したのは、3、4、5のあたり。つまり使い捨てではないことと、そして付け心地が良いことです。
できればキャンプの時だけでなく、仕事や就寝時にも使えるといいなと思っているので、付け心地は遮音性と同じぐらい重視したい点なのです。
・・・
というわけで届きました、loop earplugs Quiet(ポチの翌日と早かったです)。
かわいい箱に入っています。
フタを開けると、中央にケースが見え、その周りにイヤーピース(イヤーチップ)が3サイズ納められています。
ケースは35ミリほどと非常に小さく、そして軽いです。引っ掛けるためのループが付いています。
ケースのフタを開けると、MサイズのイヤーピースがプリセットされたQuietが。
なんだか生々しい(笑)。耳に取り付けて使うもの、という先入観があるからか、三半規管にも見えてしまいます(笑)。
イヤーピースを幾つか交換してサイズを試してみましたが、僕の耳はMサイズが一番高いフィット感が得られました。
少し不思議な見た目をしているQuietですが、使い方は簡単。イヤーピースを耳に差し込み、リング部を少し捻って位置を調整するだけです。Moldexは装着にコツが必要ですが、これは簡単。
ちなみに、取り付けるとこんな感じでリング部が見えます。
画像出典:loop earplugs(本記事の扉画像にも使用しております)
付けてる人を見かけたら「あれ、なんだろう?」と興味を掻き立てられてしまいますよね。
Quietを使った感想
この記事を書いている間、Quietを装着してみました。1〜2時間ほどでしょうか。
ふだんなら、仕事部屋の窓を開けると蝉の鳴き声や自動車の往来の音が聞こえてきますが、今日は……あ、今日もやっぱり聞こえてきます(笑)。が、はっきりと聞こえているというより、遠くで蝉が鳴いてるな、いま車が通ったな、と分かる程度。
これは僕の個人的な感想ですが、完全に遮音され無音の状態にいるよりも、わずかにでも周囲の音が聞こえていた方が集中力が高まるような気がしますね。周囲の音=情報をある程度収集できている状態の方が、不要な警戒心を持たずにすむぶん、目の前のことに集中しやすいのかも知れません。
そして、一晩装着して寝てみましたが、朝まで耳の中にあり(Moldexの時は無意識で外しちゃうことも多々)快適に朝を迎えることができました。
目覚ましのアラーム音に気付けるかどうかもチェックしてみたかったのですが、いかんせん、いつもアラームが鳴るよりも先に目が覚めてしまうんですよね。今日もそうでした(笑)。
就寝時も、全くの無音状態よりも、わずかに=眠りを妨げないレベルで周囲の音が聞こえている方が安心して眠ることができるような気がします。逆に、山林での野営のような非日常空間での就寝時は、遠くから聞こえる野生動物の鳴き声はまだしも、薄いテントの生地越しに聞こえる息遣いなどは少しでも聞こえると不安になるので、完全シャットアウトがいいのかなと。
そう考えると状況に応じて耳栓を選べるのがベターですし、今回loop earplugsのQuietを得て、Moldexとの使い分けができるようになったのはよかったと思います。
ExperienceとEngage
最後に少しloop earplugsの他の製品についても見ておきたいと思います。
loop earplugsにはQuietの他にExperience、Engageという製品があります。遮音値(SNR)はそれぞれ18dB、16dBとやや低め。それもそのはず、Experienceは音楽ライブやイベント用、Engageは会話に集中するためのアイテムなのです。
さらに、Experience、Engageにはともに、ミュートフィルターなるオプションを追加して遮音値を変更できるPlusという製品もあり、興味を惹かれます。
「人と話をするための耳栓てどういうこと?」耳栓=無音に近づけるための道具という理解をしていた僕は、Engageの製品コンセプトを見た時は驚きました。
確かに耳栓は遮音するための道具ですが、しかしよく考えてみると、耳栓を使う背景、理由があるんですよね。電車の中で静かに過ごしたいとか、仕事に集中したいとか、安眠したいとか、音に過敏だからとか、仕事の現場が爆音だから耳を保護する必要があるとか。そして、それぞれに必要な遮音値は異なるわけです。
彼らの製品は、耳栓を使う理由を明確にしたうえで状況・場面で分類し、それぞれに適した遮音値を製品に与えることで最適な環境を生み出そうとしている、そんな印象を受けました。
- NNRとSSRの違い:聴覚保護具装着時の外耳道音圧レベルの推定に使用される聴覚保護具の単一の遮音値です。SNR値はJIS、EN、ISO規格による値です。この単一の遮音性能を推定するには、平均遮音値―(確率変数x標準偏差)により算出します。NRR値は米国のANSI、EPAによる値です。SNR値は通常の場合は確率変数1による統計的に84%、NRR値は確率変数2による統計的には98%の人がこの値以上の遮音値が得られます。(出典:日本聴力保護研究会)
- 8つ、とありますが、Quietに付属のイヤーチップのサイズは4種類です。