オンドルについて考えてみた
今シーズンで一番の寒波が日本を襲い、雪に弱い東京の都心でも数センチの積雪を記録、公共交通機関が麻痺するなど、いよいよ冬本番、本格的な寒さがやってきました。
我が家では暖房は石油ストーブをメインに使用していますので、定期的に灯油の買い出しをするのですが、こんな日はガソリンスタンドの灯油コーナーが大盛況です。
キャンプハウスらしい暖房とは
キャンプで暖をとる方法といえば、焚き火。住宅の暖房でこれに一番近いのが暖炉、続いて薪ストーブでしょう。
キャンプハウスの暖房として暖炉はちょっとゴッツイので、薪ストーブについて検討したことがありますが、結論としては「無し」ということになりました。
薪ストーブについて考えてみた薪ストーブを導入するためのコスト、使うためのコスト、使い続けるためのコストや問題…… 考えれば考えるほど、僕にとって現実的なツールでないことは、妄想家の僕でもわかります。
が、ここで第三の暖房が登場します。
オンドル・韓国式床暖房
僕がいつもチェックしている女猟師ちはるさんのブログ「ちはるの森」で、オンドルという韓国式の床暖房を古民家で使ったらめっちゃ暖かくて今年の冬はストーブ使ってない、という記事を読みました。
【ブログUP!】この冬、薪で床下を温める”オンドル”と頂き物の火鉢が大活躍だよー!やっぱり火ってあったかいよね。【床暖房オンドルの凄さ】古民家住まいでこの冬一度もストーブ出してない。 https://t.co/gOkc7Cf5rw pic.twitter.com/2WbVFRN8Gn
— 畠山 千春 (@chiharuh) January 16, 2016
オンドルは、料理をするための竃(かまど)で薪を燃やして出た高温の煙を、煙突から排煙するまでに床下を通すことで室内を暖めるという、とても効率的な賢い床暖房の仕組み。
もちろん弱点もあります。例えば、
- 夏場は別の竃を使って料理しなければいけない
- 冬場は暖かい床下がシロアリなどの虫が生息するのに都合のよい環境になってしまう
- (かつては)一酸化炭素中毒の事故が頻発していた
などなど。結構な弱点のような気がしますが、ずっと使われ続けてきたことを考えるとメリットがそれを上回るんでしょうね。
ちなみに「ちはるの森」の著者、畠山千春さんの場合、ブログを読んだ感じでは、上記の問題点を以下のように解決しているようです。
- 料理用の竃ではなく、オンドル専用の焚き口から薪を燃やす(朝、薪ストーブにそうするように、オンドルに火を入れる)
- 言及なし
- 古民家なので隙間がたくさんあり(笑)、常時換気され、新鮮な空気が流入している
長短あれど、畠山さんの記事を読むと、一度はオンドル体験してみたくなりますね。
昔は日本でも使われていた?
オンドルに関する記事をいろいろと読んでいたら、去年のこんなニュースを見つけました。
オンドルと思しきものを備えていた遺跡が見つかった、というニュースです。昔の日本にも伝わっていたんですね。
ではなぜ、日本で定着しなかったのか?
それは日本と韓国の気候の違い、それを基礎とした住宅思想の違いが理由ではないかと言われています。
徒然草の第55段で吉田兼好は「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり」と述べています。「家を建てる時は、夏を快適に過ごせるようにつくれ」と言っているわけです。
つまり、日本では湿度が高くジメジメした夏、韓国ではカラカラに空気が乾燥し気温が氷点下まで下がる冬、それぞれを快適に過ごすための家作りが追求されてきたわけですね。
現代のオンドル
さて、いま「オンドル」というキーワードで検索してみると、韓国の伝統的な床下暖房設備としてのオンドルとは全く別物の、「深夜電力蓄熱式」とか「バイオオンドル」とか、オンドルという名を冠した製品、サービスがたくさん存在しているようです。
現代の韓国でも、オンドルといえば温水式の床暖房のことを指すようなので、オンドル=韓国語で床暖房の意、みたいな感じなんでしょうかね?
オンドルをキャンプハウスに導入できるか?
東京で暮らしていた頃のアパートには床暖房がありました。よく消し忘れて外出していたのですが(笑)、それくらい自然で柔らかな暖かさがお気に入りでした。
もしキャンプハウスに床暖房を導入するとしたら、現代的なものではなく、薪を燃やして熱を得る伝統的なオンドルが面白いんじゃないかと妄想しています。
妄想を膨らますにあたって気になるのが、施工前の心配=費用、施工後の心配=薪の使用量です。
オンドルの施工費用
全然、分かりません。
畠山さんの記事にオンドルをつくることができる大工さんのメアドが書かれているので、さっそく問い合わせのメールを送ってみました。返信があれば共有します! はてさて。
メールで問い合わせてから2日後、返信がありました。内容としては以下のとおりです。
- 費用:およそ100万円(70万円/人件費、30万円/材料費)
韓国人の職人含め、4名で作業するとのこと
材料はレンガ、石、コンクリート、煙突、焚き口など - 施工期間:2〜3週間/構造体、2週間〜2か月/床仕上げ
- その他:ベタ基礎だと導入が困難。布基礎でも一部壊す必要あり
100万円となると、新品の薪ストーブ導入とほぼ同じですね。施工期間にかなり幅があるのは仕上げの仕様による違いでしょうか?
導入後のメンテナンス方法とかコストとかについても聞けば良かった〜と後から思いましたが、春以降にワークショップを開催するかもとのことなので、福岡で遠いですが、その頃までに僕のオンドル熱が高まっていたら参加させてもらおうかしら。
オンドルの薪の使用量
薪をたくさん使用するのであれば、薪ストーブを断念したのと同じ理由で無理ではないかと思いますが、オンドルは薪ストーブのように炎の熱で暖まるのではなく、時間をかけて暖められた床下の石に蓄えられた熱で暖まるので、薪の量は少なくて済むとされています。
あまり情報がないので何とも言えませんが、前述の畠山さんは「1日に5〜6本炊けば十分」と書いています。もしこれが一般的なオンドルの薪の消費量であれば、薪ストーブの1/5くらいの使用量ではないでしょうか?
オンドルに関する情報を収集しつつ、しばし妄想を膨らませてみたいと思います。