アイリッシュセッターの修理を検討してみた
今日は靴のことを書いてみようと思います。僕が一番大切にしている靴、18歳(1992年)の時に買った、レッドウイング社のアイリッシュセッタースポーツブーツです。
92年製のアイリッシュセッター
「グッドイヤーウェルト」という、チャールズ・グッドイヤーさんが考えた製法でつくられたこの靴は、「持ち主の足のかたちに変形してフィットしつつ、堅牢・頑丈なつくりで長持ちする」という特徴があります。
23年以上経つ今もガンガンに履けますので、本当に長持ちしますね。
ちなみに、なぜ製造年が分かるのかというと、この右足のベロの部分についているタグの種類で見分けられるから。半円形のタグがベロの表側に貼り付けられたこの仕様は、1992年から1993年のおよそ1年半の間だけ製造されていたものです。
また右足首の内側に製造年月日がMM YYの形式で刻印されていますので(2015年7月なら、07 15)そこを見ても分かります。
ボロボロになったので修理に
長年の酷使で、各所に受けたダメージがかなり深刻な状態に。靴の構造自体に大きな問題は生じていないのですが、これはもう修理するしかありません。
ソールの交換は何度もやったことがあるのですが、それ以外の修理となると初めてのことゆえ、どこにお願いしていいのかサッパリ。そこで、検索して出てきた業者さんをいくつかピックアップし、修理について聞いてみることにしました。
以下の3つが、「レッドウイング 修理」で検索した結果、トップ表示されたお店です。
これらのお店に、修理を検討している箇所を写真と一緒に送りました。以下はそれに対して回答のあった修理費と修理法のまとめです。
縁革
まず痛みが目立つのが縁革、足を入れる縁の部分です。特に右足は、かなりベロンチョな感じで剥がれています。
これに対しての各ショップの価格と修理箇所に対する意見は以下のとおり。
BECKMAN | 3,003円(片足) |
---|---|
– – – | |
Ken’s Works | 3,780円(両足) |
近似色の革に裏地補強して交換することが可能だが、シューレースのはと目金具を交換する必要がある。金具は既存品と全く同サイズのものがないため若干大きめの金具に | |
RED WING Repair Factory |
2,160円(片足) |
履口全体的に革を当てる |
左足側部
こちらは左足の外側の部分。オイルの塗布を怠ったせいか、ひび割れています。
上の写真の少しつま先寄りの箇所。写真では分かりませんが、小指が当たる部分の皮がかなり薄くなっていて、あと1〜2年もすれば穴が開いてしまいそうです。
このうち、穴が空いてしまう可能性のある「小指が当たる部分」についての補強を希望しました。
BECKMAN | 518円 |
---|---|
– – – | |
Ken’s Works | 2,160円 |
写真を見たところ、履きシワにそってかなり深めに多数ひび割れている。革のダメージが強すぎ、裏から革当てをしても縫ったステッチから破れていく可能性が高い。また接着のみの場合は補強にならない。裏から革当てをし、ひび割れに沿ってシューレースをかけるように×××風に縫い止めする直しになるため、外見的に大きく違和感がでる。当て革が足に当たるためフィッティングに違和感、小指が痛くなる場合がある。ステッチ穴から周囲に亀裂が広がる場合がある。以上のことから、修理をせず定期的な給脂による「延命」も一考の価値があるのではないか | |
RED WING Repair Factory |
1,620円 |
内側から革を接着にて補強 |
足首裏
右足の足首の裏部分。穴が開いてしまっていて、写真では分かりづらいですが完全に貫通しています。
BECKMAN | 1,544円(片足) |
---|---|
ステッチをほどいて革をめくり、穴に近い色の革を挟んで元のステッチを縫い留める | |
Ken’s Works | 2,700円(両足) |
背面の穴は別の近似色の革を当てて縫いつける。ウエルト2㎝くらい上からトップまで貼り付けるので修復跡として外見的に目立つ可能性あり | |
RED WING Repair Factory |
1,620円(片足) |
部分的に表から革を当てこむか、穴が開いている中に補強材を入れて縫い込む |
全体の汚れ
長年の怠惰な使用のため、特につま先部分に汚れが沈着して黒ずんだ感じに。定期的にミンクオイルを塗布して手入れしてやれば、驚くほど美しい色になるんですけどね。もったいない…(涙)。
で、これをクリーニングしたい。
BECKMAN | 3,088円 |
---|---|
インソール裏のコルク層からのカビの発生リスクが高まるため、ソールの張替え(11,740円・Vibram#4014+ゴムMID・両足)を同時に実施することをおすすめする | |
Ken’s Works | 2,700円 |
– – – | |
RED WING Repair Factory |
3,240円 |
– – – |
悩む…
まず言えるのが、今回問い合わせてみた3社さんともに、みなさん非常に誠実な対応をしてくださっているということ。ホームページの品質や、問い合わせに対する返信の早さなど、いわゆるインターネット上での商売に関する良し悪しに差はありますが、いただいたメールを読む限りではそう感じました。
上に挙げた修理方法などは、実はこちらから聞いたわけではありません。「ここを修理したい」と送っているだけなのですが、写真を見て分かる範囲で(実際の対応とは異なる可能性があることを前置きして)、一か所ずつ丁寧に修理方法を説明してくれたわけです。
靴と、靴をキレイに直すことが本当にお好きなんだろうなあと(^^)。
ただ、修理を希望している箇所に対する修理方法や意見には三者三様とまではいかないまでも違いがあり、どこにお願いするかという大いなる悩みと、さらにそれ以前にどこを直し、どこを直さないべきかといったところまで遡って悩むことに。
うーむ、難しい。
ちょっと検討に時間がかかりそうなので、次回に続きます…。
アイリッシュセッターの修理、その後壊れかけたアイリッシュセッター、その後どうしようかと思い悩んでいるうちに半年が経ってしまいました。3つの業者さんの真摯なアドバイスを受けて、僕が決めた修理内容とは。はてさて。