恩原高原に雪中キャンプに行ってきた ’22
この週末、恒例となったグルソロ雪中キャンプ行ってきました。
めちゃ寒かった
大雪だったり猛吹雪だったりとさまざまな顔を見せてくれる冬山でのキャンプ、今回はズバリ「低気温」でした。昼過ぎに山に入った時点で氷点下。夜間にはマイナス10度以下まで下がっていたようです。
写真: Yohei Kudo
サイト設営したり、後述する雪洞掘りなど体を動かしている時はポカポカとしてきます。でもやっぱり、じっとしていると寒さが身に沁みてくるんですよね。
もちろん焚き火で暖をとるんですが、これだけ気温が下がるとちょっとやそっとのサイズの焚き火では暖かくならず(たくさん着込んでいるせいもあるんですが)、これくらいの炎でようやく「顔が暖かい、かな?」という感じ。
写真: Kazuo Kobayashi
これだけ燃やせば当然、薪の消費量も大きいのでストックはガンガン減っていき、焚き火できる時間も短くなります。
そして熾火がたくさんできるとその熱で下の雪を溶かしてどんどん沈下するので、炎が遠ざかってしまう。これも焚き火で暖まれない理由の一つです。
そんなこんなで早々に宴会をしまうことにし、午後8時頃には散会して各自テントに潜り込みました。
もちろんテントの中も極寒でしたが、過剰な寝具(モンベル#0二重使い+コールマン極厚マット+ブーツ)のおかげで就寝時はぬくぬく(むしろ暑くて夜中に脱衣したくらい)、しっかり睡眠をとることができました。
僕が眠りこけている間も雪は降り続けて朝までに20センチほど積もり、明るくなってからも、ほとんど氷のような細かいふわふわとした雪が風に舞っていました。
この寒さと、降り続いた雪の影響(と、僕の怠慢)であまり写真を撮ることができなかったので、今回もまた仲間たちの写真を借りてお送りしたいと思います。
宴会用の雪洞をつくってみた
昨年末からの何度かの寒波により、今シーズンは十分な積雪量があったので宴会用雪洞をつくってみました。
このブログを読み返してみると、2019年の雪中キャンプでも似たようなものをつくっていました。
ただし3年前は比較的、積雪量が少なかったようで、穴を掘るというより雪を積み上げて防風壁を築いたという感じ。当時は暖を焚き火ではなく暖房器具(石油ストーブ)でとっていたので、上部をタープで覆って風雪を凌いでいたようです。
今回目指したのは、中央で焚き火して暖をとりながら10人前後の大人がゆっくりできる雪洞。事前に建築家でもあるキャンプ仲間が設計図をつくってくれていました。
画像提供: Kazuo Kobayashi
僕がテント設営している間に、先着していた友人たちが雪洞を一気に掘り上げてくれていたので建設?に参加できなかったのですが、かなり立派なものができあがっていました。
写真: Shinichi Tsuruda
写真: Kazuo Kobayashi
実際にここで時間を過ごしてみて、中央の焚き火とその周囲に座る人との距離、雪洞内で問題なく行き来できるなどサイズ感はバッチリだったと感じました。
と同時に、次のような課題も感じました。対策も併せて書いてみます。
- 降雪に対処できない
焚き火するので、上部にタープを張るなど屋根になるものを設営することができない → (可能な対策)背面の壁を掘り込んで小さな屋根上のものをつくる - 焚き火から出る煙
集中する場所もあるが、雪洞内を巻くように流れるのでみんなの目が痛くなる → (可能な対策)入口を風下に設置する、防風壁を高くして風の侵入を防ぐ - 焚き火が沈下する
焚き火は3〜4時間で1メートル近く沈下する。焚き火、および座る場所を地面近くまで掘り込んでおかないと焚き火で暖をとるのが困難になる → (可能な対策)地面近くまで掘る
雪洞をつくってもらった分際であることは承知のうえで、そして実現可能かどうかを脇に置いて書いてみますと、キャンプ地の積雪は2メートル前後あったと思われますが、これをほぼ地面近くまで掘り込んで以下のイラストのような雪洞をつくれば、上記のうち「降雪」と「焚き火の沈下」についての対策になりそう。焚き火による温室効果も高まりそうです。
入口も折り返し階段にすれば風の侵入を防げるかなと
ただし。すーっと開口部まで上がっていって上空を吹く風に散るのか、上から吹き付けた風が雪洞内部に押し戻して充満させるのか。煙がどのように振る舞うのか全く想像できません。
そして実際にこれをつくるのは相当大変な仕事になることは間違いないでしょう。
もう一つのオプション
宴会用に雪洞をつくるというプランとあわせて、猛吹雪などあまりに条件が厳しい場合にとれるもう一つの選択肢、オプションを用意することはできたんじゃないかと思います。
まず思いつくのは、宴会用の大きめのテントを持参しておく、といったものですね。
2015年2月に実施した雪中キャンプは大きなテントを宴会場とした(「雪中キャンプに行ってきた」)。
グルソロが成立しないほど短時間で宴会が終了したわけではないですし、厳しい条件下だったとはいえ皆で宴を楽しんで、また冬山の自然を存分に堪能できたという意味では全く上出来だったとは思うのですが、バックアッププランの検討もあって邪魔になるものではないのかなと。そう感じた次第です。
良かったこと
今回の雪中キャンプで良かったと思うことを備忘録として書いてみます。
寝具を過剰にしたこと
モンベルのシュラフ#0を二重+防寒ブーツ、そしてコールマンの厚さ10センチの極厚マットという過剰な寝具は、氷点下10度以下の環境でも実に快適な睡眠環境を提供してくれました。
さらに耳栓も使用していたので、翌朝仲間たちが「昨夜の風はなかなか凄かった」と口を揃えるなか、「ん、そうだったの?」という呑気さとともに朝を迎えることに。耳栓はテント外部の状況を把握しづらくなるというリスクはありますが、テントを丁寧に設営していたことと、何度も一緒に夜を過ごしたこの相棒への信頼感が安心材料になっていたのだと思います。
テント前室を掘ったこと
現地入りする前から天気予報で、そして山に入ってからの体感で「今夜は確実に寒くなる」と分かっていましたので、テント内で過ごす時間がいつもより長くなると想定し、快適に過ごせるように前室の雪をテント設営時にしっかり掘り下げておきました。
これが想像以上に快適でした。
掘った部分に椅子を置いて、前室の掘っていない部分をテーブルに見立ててお湯を沸かしてコーヒーを入れたりするのも実に楽ちん。
そして何より、テントの中で立てる。コレです。
悪天候時はテント内でやることになる上着の脱着が楽ですし、やや段差が大きいですが上がり框のようにして靴を脱ぎ履きすることができます。道具の撤収時に腰をかがめてアレコレ作業するのはアラフィフには本当にキツいんですが、これが全くありません。
内部で立てない背の低いテントで雪中キャンプをされる場合は、ぜひ前室の雪を、できれば内部で立てるくらいの深さまで掘ってみてください。15分ほどの作業が、テント内での時間の品質を爆上げしてくれます。
スタンレー ビアパイントを持ってったこと
昨年5月からお酒を一滴も飲んでない僕ですが、今回の雪中キャンプでもノンアルでした。用意した飲み物はコーヒー、紅茶といったホットドリンクのみ。
しかし氷点下10度なんて状況ですと、せっかく温かい飲み物を淹れてもふつうのカップだとアッと言う間にコールドドリンクになってしまいます。
「役に立つかな」と思って持っていったスタンレーのビアパイント、役に立つどころか絶対に必要なアイテムでした。
ビアパイントの底部が凍りついてテーブルから離れない、そんな状態になっていても中のコーヒーはほかほか。
100円ショップで見つけた蓋もきっといい仕事をしてくれたんだと思います。
OLIGHT S1R BATON IIをランタン化したこと
先日シェードを自作してランタンとしても使えるようにしたOLIGHT S1R BATON IIですが、新たに2つのパーツを導入し、より使いやすくなりました。
2つのパーツとは、1)マグネットリリーサーという強い磁石でアイテムの着脱が容易にできるアイテムと、吊るした時にOLIGHTの高さを調整するための2)リール式のキーホルダーです。
OLIGHT S1R BATON IIはお尻がマグネットになっているので、それを利用してマグネットリリーサーでリールと繋いだわけです。
リール式のキーホルダーは自宅の物置きで発見しました(笑)。
雪洞の壁に挿してランタンハンガーにした木の枝に、テント内のガイラインにと、どこでも簡単に吊るせて高さ調整も容易、マグネットで簡単に取り外せるので最大1000ルーメンの超大光量の行動用照明に早変わりと文句なしのランタンになりましたね。
運搬用ソリについて
昨年末から、椅子としての機能も併せ持つ運搬用ソリを完成イメージとしてシコシコとつくってきました。
しかし今回、雪洞をつくったことで宴会場では椅子が不要になったこと、ソリから椅子に切り替えるための上手いギミックが思いつかなかったことから、結局今回は椅子の機能を加えることを諦めて運搬用ソリとしてのみ使用、バックパックに入らないコールマンの極厚マット、クーラーボックス、調理用に買った水などを運びました。
コンパネを使っているため結構な重量のソリとなりましたが、底面に振ったシリコンスプレーのおかげか雪上をスムーズに滑って荷物を運んでくれましたよ。
現地で撮影する余裕がなかったので、自宅庭で再現
使ってみていろいろ感じたことがあるので、整理して別記事でまとめてみたいと思います。
・・・
まあ、このようにいろいろと振り返って改善策を講じても、次回の雪中キャンプでは「あ、ここはこうした方が良かった」という点が必ず出てくるわけで、正解のない、終わりのない話をとりとめもなくしているような感じなんですけども。それが楽しいんですが。