雪中キャンプで使うテントを検討してみた
先日の雪中キャンプ後の後片付け中に、愛用している4シーズンテントのMountain35(THE NORTH FACE)がかなり劣化していることが判明しました。
具体的には、シームテープの劣化と、前室の小窓の剥離(脱落)です。
その後、細かくチェックしてみたところ修繕、というか改善できそうではあったのでそれはそれで対策したいと思っているのですが、どこまで回復できるかは未知数。
Moutain35は、大震災などで屋外生活が必要となった場合の緊急避難住居的な位置付けもあったので、僕の中には、できるだけ状態の良い4シーズンテントを保有しておきたいという気持ちがあります。
そんなわけで、以下のような条件でテントを検討してみたいと思います。
- 4シーズン使える
災害はいつ起きるか分からないので、通年使える製品が良い。雪中キャンプにも使いたいですしね - ダブルウォール
防寒と結露を考えるとやはりダブルウォールかなと - 居室は2〜3人が横になれるサイズ
ソロで使う場合でも荷物を置いたり調理作業をすることを考えると、2〜3人用の広さがベスト(長期化する場合は、広さに余裕のあるサーカスを使用) - 前室が広い
雪中キャンプや雨天時、衣類や靴の脱着がしやすい方がよいのと、濡れた上着などを干しておく場所としても使いたいので
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では、見ていきましょう!
Coleman Darwin Plus
画像出典:COLEMAN’S FAN
サイズ | 320×160×120cm フロア面積/3.0m² 収納サイズ/57×16×16cm |
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重量 | 4.2kg |
材質 | ポリエステル(耐水圧/3000mm) |
定員 | 2名 |
価格 | 2万3980円(税込) |
ColemanのDarwin 2 Plusは、上に書いた4つの条件にドンピシャリとハマります。
価格がかなり手頃(少なくとも、このあとに続く製品と比べると)ではあるのですが、動画をじっくり見ていると、ポールやグランドシートの素材などが少しチープに感じられるのが気になるところ。実物をチェックしてみたいですね。
Colemanの製品はランタンしか使ったことがないので、試してみたい気もしますが。
THE NORTH FACE Mountain25
画像出典:GOLDWIN
サイズ | 奥行/218cm、幅/137cm、高さ/104cm 収納人数/2名 フロア面積/3.0m² 収納サイズ/61×18cm |
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重量 | 4kg |
材質 | キャノピー/40Dリップストップナイロン、フロア/70Dナイロンタフタ 10000mmPUコーティング、フライシート/40Dナイロン1500mmシリコン/PUコーティング |
定員 | 2名 |
価格 | 10万2600円(税込) |
僕が長年愛用してきたThe North FaceのMountain35はポール4本を交差させる構造で、風や積雪にも強く、内部も広くて非常に好きなテントでした。
現在は販売を終了していて、かわりに35を少しコンパクトにしたMountain25がラインアップされています。
35はフロア面積が4m²あり居住性がかなり高かったので、25の3m²はやはり物足りなく感じますね。前室の広さはスペックに含まれていませんが、テントの幅が30センチ以上小さくなっているので、前室も少し狭くなっていると思います。そのぶん重量も1kgほど軽くなっていますが、収納サイズは全く同じ。
テント本体のカラーもテント本体は黄×白から白×黒に、フライシートも黄1色から黄×黒の組み合わせに変更されています。
大きな仕様は変わっていないし、使い慣れた35から乗り換えやすいのかも知れませんが、どうせ買うなら全然違うものを、とも思ってしまいますね。
HILLEBERG NAMMATJ 2 GT
HILLEBERGからは2つの製品をピックアップしました。まずはトンネルタイプのNAMMATJ(ナマッジ)2。
サイズ | 室内最大高:95cm、フロア広さ:2.8m²、前室広さ:2.4m² |
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重量 | 3.7㎏ |
材質 | Kerlon1800 アウターテント/生地:40デニールリップストップナイロン、処理:両面100%シリコン加工(合計3レイヤー)、引裂き強度:min.18kg(ISO13937-4)、耐水圧:3000mm(ISO811)、耐光性:minimum5(ISO105-B02) インナーテント/生地:40デニールリップストップナイロン、処理:耐久性撥水加工(DWR) フロアー/生地:100デニールナイロン、処理:ポリウレタン3層コート、耐水圧:7000mm(ISO811) |
定員 | 2名 |
価格 | 13万5000円(税込) |
HILLEBERG NAMMATJ2に注目した理由は、やはり前室の広さ。2.4m²の前室は、今回見たテントの中でも最大級で、高さも95cmあり実用性も高そうです。
ただ、居室の幅が130センチとややタイトで、居室の高さも中央あたりから奥にかけて下がっているので容積はそれほど広くないように思えます。
素材には、Kerlon1800(引裂き強度18kg)と高強度のナイロンが採用されています。HILLEBERGはTarp 10XPを自宅のウッドデッキ用に使っていたのですが、毎日使っても劣化や損傷がなく、その耐久性や強度にはかなり驚かされました(製品のスペックとは別の理由で破損して廃棄してしまったのですが)。素材の耐久性や強度に対しては、僕も信頼を置いています。
このあと登場するNORDIKS Halland2やRobens Voyager2などと同じトンネルタイプのテントなのですが、NAMMATJとその他の製品との違いは、一体式のダブルウォールテントだということ。通常、フライシートとテント本体を別々に設営する必要があるのですが、一度に素早く設営・撤収できるのは特に悪天候時に嬉しいポイントですよね。
HILLEBERG STAIKA
サイズ | 室内最大高:110cm、フロア広さ:3.2m²、前室広さ:0.9m²×2 収納サイズ/23φ×52cm |
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重量 | 3.8㎏ |
材質 | Kerlon1800 アウターテント/生地:40デニールリップストップナイロン、処理:両面100%シリコン加工(合計3レイヤー)、引裂き強度:min.18kg(ISO13937-4)、耐水圧:3000mm(ISO811)、耐光性:minimum5(ISO105-B02) インナーテント/生地:40デニールリップストップナイロン、処理:耐久性撥水加工(DWR) フロアー/生地:100デニールナイロン、処理:ポリウレタン3層コート、耐水圧:7000mm(ISO811) |
定員 | 2名 |
価格 | 14万4900円(税込) |
同じHILLEBERGのドーム型もチェックしておきます。STAIKA(スタイカ)です。
テント内部はNAMMATJ2に比べて広め。
大きな入り口が2つあり、それぞれが1m²弱の前室になります。一定量の荷物は置けそうではあるものの高さがないので、使い勝手はそれほど良くはなさそうです。
ただ、上から見ると円形に近いドーム型は風や積雪にも強いので、雪中キャンプにも向いていそうです。
STAIKAもNAMMATJ同様、Kerlon1800が使用されています。HILLEBERGの製品情報は、生地のスペックが詳細に書かれていて、いかにこだわっているか、自信を持っているかが表れている気がしますね。
またHILLEBERGの製品は縫い目の防水処理(シーム・シーリング)が施されていません。それを必要としない技術で縫製しているからだそうですが、つまり、僕がMountain35で抱えた問題=シームテープの劣化は、HILLEBERGでは生じないということになります。
生地が頑丈でも使っている別の素材が劣化して製品の使用が困難になってしまうのであれば意味がないわけですが、そうした点もきちんと考慮されているわけですね。
NORDISK Halland2 PU
画像出典:NORDISK
サイズ | 長さ350×幅150×高さ110cm 内部/長さ215×幅130cm |
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重量 | 3kg |
材質 | フライシート/100%リプストップ・ポリエステル(耐水圧3000mm) インナー/100%ポリエステル フロア/100%ナイロン |
定員 | 2名 |
価格 | 5万4000円(税込) |
上で見たHILLEBERG NAMMATJ2の少し小さなタイプNAMMATJにかなり似ていますが、こちらNORDSIKのHolland2は入口側の径(高さと幅)が手前と奥で異なります。このため奥の幅が110センチと狭くなっていて、居住性がやや低下しているような気がします。
フライシートやテントの入り口は、よくある「くるくると巻いてスナップで留めて掛けておく方法」ではなく、くしゃっと丸めてメッシュポケットに収める方式。くるくると巻くのって結構面倒だったりするので、これは意外と良さそうです。
それから、(これはHallandだけの特徴ではありませんが)、HILLEBERG NAMMATJ2と違ってフライシートとテント本体が別々なので、フライシートだけを設営してシェルターとして使うこともできます。
少し気になるのは、入り口上部がメッシュになっている点。ベンチレーションのために必要なものなのですが、常時メッシュの状態だと、冬季の使用には向かないかも知れません。
Robens Voyager 2EX
Robensからも2つの製品をピックアップしてみます。HILLEBERG同様、トンネルタイプとドームタイプです。
まずはトンネルタイプのVoyager2。
画像出典:Robens
サイズ | 表下の画像参照 収納サイズ/45x16cm |
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重量 | 3.4kg |
材質 | フライ/ハイドロテックスHD、75Dポリエステル185T遅燃性、耐水圧5000mm インナー/68Dポリエステル190T通気性 フロア/75Dポリエステルタフタ210T、耐水圧10000mm ポール/アロイ#7001、T6,8.5mmアナダイズド |
定員 | 2名 |
価格 | 4万176円(税込) |
Robens Voyager 2EXは、広い前室、径のことなる形状のトンネルなど、HILLEBERG NAMMATJ2とNordisk Halland2をドッキングさせたような製品。
前室には正面と右横、2つのドアがあるのも特徴で、通気性はもちろん、雨や雪が降っている日は小さな正面ドア、晴れた日は大きなサイドドアと使い分けることもできます。
そこまでのスペックが必要なのかはどうかはさておき、風速168km/hにも耐えうるのだとか。まあ、強いに越したことはないですが(笑)。
そして、やはり注目したいのが、今回のラインアップの中では群を抜く低価格である点(Colemanを除く)。このサイズで、これだけの機能を持つテントがこの価格なのは驚きですよね。
Robens Lodge2
続いては、Robensのドームタイプのテント、Lodge2。
画像出典:Robens
サイズ | 表下の画像参照 収納時/62x18cm |
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重量 | 3.3kg |
材質 | テント/フライ/ハイドロテックスHD、75Dポリエステル185T遅燃性、インナー/68Dポリエステル190T通気性 フロア/75Dポリエステルタフタ210T、耐水圧10000mm ポール/アロイ#7001、T6、9/10mmアナダイズド |
定員 | 2名 |
価格 | 3万3048円(税込) |
テント自体は非常にシンプルなものですが、注目すべきは、短いポールを1本追加してフライシートを拡張し、2つある前室の容積を高めている点。これ、他のメーカーでもすぐに取り入れられそうなアイディアですよね。
先ほど見たVoyager 2EX同様、非常に手頃な価格も重要なポイント。
MSR Remote™2
画像出典:モチヅキ
サイズ | フロア面積/3.1m² フロア容積/2108L 室内最大高/112cm 収納サイズ/51×17cm |
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重量 | 3.2kg |
材質 | フライ/68Dポリエステルリップストップ、耐水圧1500mm ポリウレタン&DWRコーティング キャノピー/40D リップストップナイロンDWR コーティング、15Dポリエステルマイクロメッシュ ポール/イーストンサイクロン フロア/40Dリップストップナイロン、耐水圧10000mmデュラシールドポリウレタン&DWRコーティング |
定員 | 2名 |
価格 | 12万9600円(税込) |
MSR Remote™2は、The North FaceのMountain35とよく似たテントです。35は4本ですが、Remote™2は3本のポールをクロスさせてテント本体の強度を高め、専用のポールでアーチをつくって前室の容積、アクセスを向上させています。
異なるのは、幅が広い側にテントの入り口と前室を配置していること。Mountain35は(そして上記のMountain25も)逆で、テントの幅が狭い側に入り口を設けたため、前室が小さくなってしまったんですよね。
強靭な骨格や構造に加えて、長いスカート、多く設けられたガイラインポイントなど、降雪や風にも強い仕様です。
Nemo CHOGORI™ 3P
画像出典:Iwatani PRIMUS
サイズ | フロア面積:4.1m² 前室面積:1.7m² |
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重量 | 3.5kg |
材質 | 本体/20Dナイロン+メッシュ、フライ/30DSil/Silナイロン フロア/70DPeUナイロン |
定員 | 3名 |
価格 | 10万5840円(税込) |
今回見た中でもっともハイスペックだなと思ったドームタイプのテントが、このNEMO CHOGORI™。
構造としてはMountain35と酷似していますが、テントの容積がかなり大きく、居住性がかなり高そうです。
そしてフライシートとテントが一体化したダブルウォールタイプなので、設営・撤収が早くて簡単であるのも大きなポイント。
前室は床面積は及第点ですが、フライシートの傾斜がきつく、数字ほどは使い勝手が良さそうではない感じがしますね。
重量は、このサイズで3.5kgとかなり軽いですね。
僕がこの機能を使うことはないと思いますが、CHOGORI™を連結して使うこともできるようです。
まとめ
ピックアップした9製品の主要要素を、比較しやすいようにまとめてみました。
居室の面積に*マークのついているものは、図面からawが概算したものです。前室の使い方については、面積や高さ、間口の広さや数などを参考に◎、◯、△の3段階で評価してみました。価格は全て税込です。
Coleman Darwin |
TNF Mountain25 |
HILLEBERG NAMMATJ2 |
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居室の面積 | 3.0m² | 3.0m² | 2.8m² |
前室の使い勝手 | △ | △ | ◎ |
重量 | 4.2kg | 4kg | 3.7kg |
価格 | 2万3980円 | 10万2600円 | 13万5000円 |
HILLEBERG STAIKA |
NORDISK Halland2 PU |
Robens Voyager 2EX |
|
居室の面積 | 3.2m² | 2.6m²(*) | 2.5m²(*) |
前室の使い勝手 | △ | ◯ | ◎ |
重量 | 3.8kg | 3kg | 3.4kg |
価格 | 14万4900円 | 5万4000円 | 4万176円 |
Robens Lodge2 |
MSR Remote™2 |
Nemo CHOGORI™ 3P |
|
居室の面積 | 3.4m² | 3.2m² | 4.5m² |
前室の使い勝手 | ◯ | ◯ | ◎ |
重量 | 3.3kg | 3.2kg | 3.5kg |
価格 | 3万3048円 | 12万9600円 | 10万5840円 |
ドームタイプかトンネルタイプかなどの違いはあれど、居室の面積や重量はほとんど差がありません。
まあ、この差を大きいととるか小さいととるかは人それぞれですが、価格差に比べれば誤差と言えるんじゃないでしょうか。一番価格の高いHILLEBERG STAIKAの14万4900円と一番安いColeman Darwinの2万3980円を比べると、実に4.8倍です。このギャップは、居室や前室の面積、重量などのスペックにはありませんから。
ではこの価格差は何なんだろう?
各メーカーが発表している情報やユーザーの評価、ブログやYouTubeなどのコンテンツなどから探っていくわけですが、例えば一番高価格なHILLEBERGのホームページにはこんな記述があります。
1人の作業者が1つのテントを完成させる方式で生産しています。お客様はテントに作業者のネームタグが付いていることに気づかれることでしょう。ヒルバーグ社は大量生産をしません。すべてのテントは、出荷前に組み立てられ、検査されます。(中略)又、ヒルバーグが低価格の実現のために品質や安全性で妥協することは決してありません
ヒルバーグ社では、シーム(縫い目)が強固で丈夫になるような縫製手法を採用していますので、ヒルバーグ社のテントにシーム・シーリングをする必要はありません。ヒルバーグ社ではすべてのテントで折り伏せ縫いを採用しており、ヒルバーグ社のミシンは針の周囲に冷却ジェットを当てています。これにより、すべてのステッチが4枚の生地を通り抜け、熱を引き起こす摩擦が防止されているので縫い目穴のサイズは最小に抑えられます。その結果、縫い目は非常に正確で信頼性があり、非凡な耐久性と耐水性を持ちます。
以上、ともにHILLEBERGから引用
こうした製品に対する考え方や技術に加えて、企業理念、環境に対する態度など、様々なことを考えて検討を進めていくべきなんですが(そして本当はそれもブログで紹介できればいいのですが)、実際にそれをやるのはなかなか難しいものです。
とはいえ今後、そうしたことも時間の許す限り調べて、ブログで共有していけたらいいなと思っています。
テントの価格について
価格の話になったので、関連する、どうでもいい話を最後にひとつ。
キャンプをしない人にテントが10万円以上するなどと話すと、たいてい「えぇっ! そんなに高いの?」と驚かれます。
決して安い価格ではないと僕も思いますが、そういう時、僕はホテルの宿泊費を例にして考えてみてもらうようにしています。
先日、家族3人で東京に行った際の宿泊費は、4日間の全日程で10万円ほどでした。1泊の平均は、2万5000円ですね。
僕が長年愛用していたThe North Face Mountain35の価格は9万円弱だったと思いますが、150泊くらいはしていますので、1泊あたりのコストは600円(*)。実にお手頃価格です。
ホテルのようにお風呂やトイレもないし、テレビやWi-Fi、ルームサービスもありませんが、自分(たち)で立ち上げたテントに寝転がって、波や風、雨や雪のテントに当たる音、虫や野生動物の鳴き声を聴きながら過ごす時間は、僕にはホテルでのそれよりも贅沢に感じられます。
まあ、この話をしても、理解してくれる人はあまりいないんですけどね(笑)。
* たいていは利用料なしのキャンプ場か、そもそもキャンプ場でもない自然の中でキャンプすることが多いのですが、有料のキャンプ場での宿泊料を計算に加えたとしてもほぼ同じくらいのコストになると思われます。