キャンプ用の椅子を調べてみた
僕は家具が好きなんですが、多くの家具好きがそうであるように、その中でも特に椅子が好きで。
椅子特集の雑誌なんかがあれば、何時間でも眺めてられますね(もちろん、本物が一番好きです)。
ですが、このブログには、ベンチ、家で使うスツールやロッキングチェアなどの記事はあるものの、キャンプで一人で座るための椅子について「調べてみた」系の記事はありません(僕の中で「椅子」は一人掛けのものを意味します)。
自分自身が納得できる記事を書く自信がないという理由で、このブログでは椅子ネタをできるだけ避けてきました。
が、長年使ってきたHelinox Chair Oneは布地がヘタり、さらに爆ぜた焚き火で小さな穴がたくさん空いてしまうなどかなり疲れてきたので、来年に向けてそろそろ新しい椅子が欲しいなと感じるようになってきました。
どんな椅子を探すか
では、どんな椅子を探すか、と言えば、ファミキャン時に使うそれです。
ソロキャンの時は極力荷物を減らすため、できれば椅子も割愛。いちおうトム(妻)のHelinox コンフォートも借りて持って行きますが、グランドシートにゴロンか胡座がベスト(そのまま、その上にタープ張って寝る)。
今年二度実施したファミキャンでは、以前いただいたHoliday in the mountainのアナルコチェアを愛用中。
とても満足しているんですが、かなりのロースタイルなので、座面高35cmのベンチに座っているトムや子どもとの目線の高さと、食事などで使うテーブルと高さを合わせられる、もう少し座面の高い椅子だとベスト。材質は木で、ライト&ファーストではなく、スロー&ナチュラルな空気感を漂わせたい…… なんとなくそんな感じで考えております。
では、見ていきましょう!
- 今回チェックした椅子はこちら
- TAPETE CHAIR/Ocho Camp
- sunset climax × Kermit Chair
- LOW ROVER CHAIR / D.O.D
- KK47000 Safari Chair / C.H.S
- Propeller Stool / C.H.S
- TABI KACHAKACHA MID CHAIR / Outside-in
- Just Right Chair / INOUT
- まとめ
TAPETE CHAIR / Ocho Camp
ひとつめは、高知県のガレージブランドのOcho Camp(オーチョキャンプ)のTAPETE CHAIR(タペテチェア)。
画像出典:Ocho Camp
材質 | フレーム:レッドオーク、真鍮、牛革 座面:ウール100%(縦糸はコットン) |
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サイズ | 使用時:幅520×奥行460×高さ675mm 、座面高380mm 折りたたみ時:幅520×奥行140×高さ545mm |
重量 | 約3.4kg |
仕上げ | 植物性オイル |
その他 | フレーム:日本製、座面:メキシコ製 |
価格 | 46,440円(税込) |
スツール(腰掛け)に背もたれをくっつけたようなシンプルなデザイン、しかし、脚部や背もたれなどパーツの末端はラウンド処理され、角も面取りされていて、非常に丁寧に仕上げてある印象のTAPETE CHAIR。
名前の由来は、座面に使用されているメキシコ産のタペテという織物。草木や花などが染料で、手織りで仕上げられる自然な風合いが魅力です。コーヒーこぼしちゃったら泣きますね(笑)。タペテのカラー(柄)は6種類から選ぶことができます(上写真の柄の販売はなし)。
座面すぐ下に横に渡してある細い横棒が背もたれを止めるという仕組みなので、いくら堅牢なオーク材(ナラ)とはいえ、勢いよく座ると破損しそうです。
背もたれや脚部の接合部に使用されている真鍮製のネジは、コイン(小銭)で回すことができるので、ドライバーを忘れても安心。ネジをゆるめて背もたれを倒すとスツールに。2通りの使い方ができます。
家族分の椅子をこのTAPETE CHAIRを色違いで揃えれば、賑やかで、しかしナイロン素材とは違った暖かみのあるキャンプサイトになりそうですよね。
sunset climax × Kermit Chair
お次はキャンパーなら誰もが知っている、一度は見たことがあるであろう、Kermit Chair(カーミット・チェア)。僕の友人も、何人も所有しています。
画像出典:sunset climax
材質 | オーク材、アルミ、スチール、ナイロン(2520デニール) |
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サイズ | 収納サイズ:約11×16×56cm、座面高:約30cm |
重量 | 約2.4kg |
仕上げ | 船舶塗料塗布 |
その他 | 対荷重:158kg |
価格 | 37,800円(税込) |
一般的なKermit Chairは布地の色が緑(FOREST GREEN)、黒(BLACK)、紺色(NAVY)、赤(RED)、バーガンディ(BURGUNDY)あたりが定番ですが、様々なコラボレーション製品が生まれていて、SNSや雑誌を見ると、それこそ無数の種類のKermit Chairを見ることができますよね。
このsunset climaxとのダブルネームのkermit Chairは、サンドカラーのナイロンに赤いステッチ。いま使っているタープやベンチなどとの相性が良さそうなカラーリングに着目して、今回リストアップしてみました。
ちなみにこのナイロンは2520デニールと、通常のKermit Chairの生地(1000デニール)の倍以上の厚みがあり、かなり強靭な仕様になっています。
Kermit Chairについての詳細はすでに多くのWEBサイトやブログで語られていますし、僕の知識はそれを超えるものではないので本記事では割愛しマス。
LOW ROVER CHAIR / D.O.D
「木の椅子」と書いたのに、3つ目にしてすでに条件外の椅子が登場! DOPPELEGANGER OUTDOOR(ドッペルギャンガー・アウトドア / D.O.D)のLOW ROVER CHAIR(ロー・ローバー・チェア)。
画像出典:D.O.D
材質 | アルミ合金、帆布(コットン) |
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サイズ | 幅550×奥行590×高720mm、座面高310mm 収納サイズ:幅550×奥行120×高790mm |
重量 | 約2.8kg |
仕上げ | – – – |
その他 | カラー:カーキ / ブラック、静止対荷重:80kg |
価格 | 8,400円(税込) |
イギリス軍の軍用車として使われていたランドローバーに積載されていたことから、ローバーチェアと呼ばれるようになったミリタリーチェア。折りたたんで車載できることや、ルックスの良さからリプロダクトされ、近年、キャンパーに人気とか。
ただ、ローバーチェアは座面高が一般的な椅子と同じ40センチと、今回の僕の条件よりもちょっと高め。
そこで、このローバーチェアを座面高31cmとローチェア化したD.O.DのLOW ROVER CHAIRに注目してみたわけです。
肘掛に木材が使われてはいますが、基本はアルミのパイプにコットン(帆布)の組み合わせ。重量も3kg未満と軽く、折りたたみ時は厚さが12cmと薄いのもグッド(ただし、高さが使用時よりも7cmほど高くなりますが)。
肘掛もあるし、ゆったりと座れそうです。
ただ、気になるのが、「作りが雑」というカスタマーの評価。価格も気軽にポチれるほど手頃ではないので、ちょっと引っかかるレビューではあります。
KK47000 SAFARI CHAIR / CARL HANSEN & SON
続く2つは、やや少し毛色の異なるアイテムをピックアップ。
ひとつめはなんとなく気品漂うコチラは、SAFARI CHAIR(サファリ・チェア)。
画像出典:CARL HANSEN & SON
材質 | アッシュ、キャンバス、皮革 |
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サイズ | 幅57×奥行57×高さ80cm、座面高34cm |
重量 | – – – |
仕上げ | オイル |
その他 | デザイン:コーア・クリント |
価格 | 93,000円(税込) |
前段に掲載したLOW ROVER CHAIR同様、イギリス軍のフォールディングチェアをもとに1933年にデザインされた椅子なんですが、こちらは名前のとおり、サファリ=狩猟で野営する時などに使用するための椅子としてデザインされました。
Kermit Chair同様、解体/組立が可能で、背もたれ、座面、左右の脚と4つのパーツに分解できます。これらのパーツをデザインのアクセントにもなっている皮革で締めて固定する仕組みです。
背もたれは、背面中央部分に渡してある横棒一本で支えられているので、もたれかかる角度に合わせてリクライニングしてくれます。思い切り仰け反ると、かなりの海老反りスタイルで座ることも可能(笑)。
鳥取砂丘あたりに生成り色のコットンタープを張って、その下にこのSAFARI CHAIRを置いてゆったりと座り、クロスを広げたテーブルでワインなど飲んだらいい絵ができそうな気がするのは僕だけでしょうか。
材質として用いられている木、帆布、皮革が、それぞれ素材の特徴を活かした役目を与えられていて、且つデザインの完成度を高めているのが素晴らしいなと感じます。大好きな椅子の一つです。
キャンプ道具としては、やや高価ではありますが……。
Propeller Stool / CARL HANSEN & SON
まずはキャンプ用としてはやはり高価過ぎるこちら、「Propeller Stool(プロペラ・スツール)」。
画像出典:CARL HANSEN & SON
材質 | アッシュ(またはスモークドアッシュ)、キャンバス |
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サイズ | 幅54×奥行49×高さ45cm |
重量 | 約3kg |
仕上げ | オイル、ホワイトオイル |
その他 | デザイン:コーア・クリント |
価格 | 337,000円(税込) |
先ほど紹介したSAFARI CHAIRと同じ、コーア・クリントさんという方がデザインをしています。
クリントさんはデンマーク近代家具の父と呼ばれる巨匠で、デンマーク王立芸術アカデミーで初代教授として教鞭をとっていたことから、近年人気の高い北欧系のデザイナーの多くが彼の影響を受けていると言われています。
で、Propeller Stoolです。
いっけん、その辺りにある折りたたみの腰掛けに見えますが、実は高度な木工技術が投入されています。
交差している脚部は、名前の由来ともなっていますが、プロペラのような形状をしています。これが非常に美しく、また見た目の軽やかさを生んでいます。が、もっとスゴイのは収納した時。折りたたむと交差状態のX字からI字になるわけですが、プロペラの凹凸がぴったりと重なって、1本の円柱のようになるんです(上写真内の右下参照)。
使用時に加えて、収納時の美しさも考えられているスツールはなかなかありません。
ただ、やっぱり汚れがちな野外のフィールドで気軽に使えるブツではないので、キャンプには不向きですかねぇ。。
TABI KACHAKACHA MID CHAIR / Outside-in
さ、キャンプ用品メーカーの製品に戻りましょう。新潟県燕市のOutside-in(アウトサイド-イン)からTABI KACHAKACHA MID CHAIR(タビ・カチャカチャ ミッド・チェア)。
画像出典:Outside-In
材質 | オーク、ブラックウォールナット、アルミ(アルマイト処理)、サンブレラ生地(*) |
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サイズ | 本体:幅62×奥行65×高さ90cm、座面高31cm 収納時幅10×奥行18×高さ88cm |
重量 | 約3.8kg |
仕上げ | – – – |
その他 | ヘッドレスト設置可(別売) |
価格 | 30,000円(税込) |
なんと言ってもこの椅子の最大の特徴は、5段階でリクライニングできること! 背もたれも高さ90センチとハイバック仕様、さらには背もたれ上部にヘッドレスト(別売)まで設置可能ということで、リラックス度はキャンプ用椅子で最大級ではないでしょうか。
このTABI KACHAKACHA MID CHAIRは分解/組立も可能で、且つ折りたたむこともできます。状況に応じて収納スタイルを変えることができるのは嬉しいですね。
個人的には、脚部を補強する黒い金具がデザイン的にやや唐突で、背もたれ上部と肘掛はブラックウォールナット、その他をオークと、使う木材を変えているのが少しチグハグな印象のように感じました。
使っているパーツが多く見えてしまうんですよね。Kermit Chairと使っているパーツ数はそれほど変わらないのに、少しガヤガヤしてしまっていると言いますか……。これは好みの問題だと思いますが。
ちなみに、Outside-inのテーマは、”自然を家の中に取入れ、アウトドアへ家のくつろぎを持込む”。このテーマを読んで「あれ? なんだか聞いたことのあるフレーズだぞ」と思ったら、テーブルを検討した時にチェックしていたブランドでありました(すぐに忘れてしまうもので)…………。
Just Right Chair / INOUT
最後は、INOUT(イナウト)のJust Right Chair(ジャスト・ライト・チェア)。
画像出典:INOUT
材質 | ナラ、帆布(倉敷帆布6号) |
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サイズ | 幅620×奥行600×高770mm 座面高360mm |
重量 | – – – |
仕上げ | ワトコオイル |
その他 | キャンバスカラー:カーキ・サンドベージュ・オフホワイト |
価格 | 32,400円 |
一番最初に掲載したTAPETE CHAIR同様、パーツの末端が丸く処理されていて、全体の印象を優しく、柔らかくしています(僕の好み)。
座面と背もたれに使用されているアースカラーの帆布もパイピングされ、デザイン性が向上していると同時に、仕事の丁寧さも感じさせますね。植物性のフィニッシュ材であるワトコオイルが塗布されたナラとの雰囲気も合っていますね。
この椅子の名前、「Just Right Chair」は「全てにちょうど良いサイズ」という意味だそう(H社のクルマのCMみたいですね)。
立ち上がりやすさ、寛ぎやすさ、安定感、少しお腹が膨れても楽に座っていられる等、キャンプにおける様々な場面を想定して、サイズを出したとのこと。こう聞くと、座ってみたくなりますねぇ。
まとめ
こうして見ると、同じ木の椅子でも構造が一つひとつ違っていて面白いですね。
できれば全部実物を並べてみて、しっかり触って座ってから選びたいですが、地方在住者の悲しいサガ、なかなか叶わぬ夢なので、たくましく妄想を膨らませてみたいと思います。
以下に、今回リストアップした椅子のサイズだけ、比較しやすいようにまとめておきました。
幅 | 奥行 | 高さ | 座面高 | |
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TAPETE CHAIR | 52 | 46 | 67.5 | 38 |
Kermit Chair | – – – | – – – | – – – | 30 |
LOW ROVER CHAIR | 55 | 59 | 72 | 31 |
SAFARI CHAIR | 57 | 57 | 80 | 34 |
Propeller Stool | 54 | 49 | 45 | 45 |
TABI KACHAKACHA MID CHAIR | 62 | 65 | 90 | 31 |
Just Right Chair | 62 | 60 | 77 | 36 |
意外とPropeller Stoolがデカイのが分かりますね(笑)。
.
あと、またこれも僕のリサーチ力のなさもあるんですが、雑誌やネットで調べてみて「意外とキャンプ用の椅子って種類がないんだな」と感じました。
何かの本で、家具の中でも椅子をデザインし、つくるのはとても難しいと読んだことがあります。
実際に全国の職人さんやデザイナーさんが挑戦し、「こりゃ難しい!」と苦闘されていてまだ世の中に出てきていないだけなのか(はたまた僕が調べ切れていないだけなのか)分かりませんが、キャンプ用の木の椅子という世界には、真っ青とまではいかなくとも、まだ青色に近い海が広がっているんじゃないかと、想像したりしてました。
現時点で何のアイディアもないけど、知り合いの家具職人に相談してみようかしら。。。