タイニーハウスについて調べてみた
「キャンプハウス妄想の栄養源」や「MUJI HUT」、「他人の土地で妄想してみた」といった記事のように、時々小さな家のことを書きたくなる習性があるようで。
こうした小さな家を海外ではタイニーハウス(Tiny House=ちっぽけな家)と呼ぶそうですが、これが静かなブームになっていて、Tiny Houseで検索すると、いろいろなWEBサイトがヒットします。
本当に千差万別、いろいろなタイニーハウスがありますが、その中から僕の気になったものを幾つかピックアップして紹介したいと思います。
- 取り上げたタイニーハウスたち
- Vista
- Gateway
- ALPHA TINY HOME
- Luxurious tiny home
- The Fox House
- なぜ流行しているのか?
Vista
まずはこちら。Escape Houseという会社がリリースした「Vista」というタイニーハウス。
出典:Escape Vista
壁の2/3くらいはありそうな、たくさんの窓が特徴。狭い空間でも窮屈さはなく、むしろ解放感がありそうです。
この外観について、販売している会社の社長は、「ミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸にインスパイアされた」と説明しています。確かに大きな窓(というか、ファンズワース邸は、壁という壁が窓)というのは共通しているかも知れません。
内装はバーチ(樺)材のような木材で統一されていて、とても清潔感がありますね。
見る時だけ出てくるテレビをはじめ、小さな家ならではの収納方法は、ふつうの家でも取り入れられる工夫がたくさんありそうです。
基本プランは4万6,600ドルで販売されていて、オプションやカスタマイズも可能とのこと。
Gateway
森の中に置かれた木の箱、といった佇まいのタイニーハウス「Gateway」。
出典:inhabitat
Gatewayは、米・ハーバード大学の学生たちが起業した会社で、ニューヨークやボストン近郊の森の中に置かれたこのタイニーハウスでのミニマルな時間を提案しています。
都市を出て、ルーティン化した日々の生活から抜け出し、タイニーな空間での暮らしや森の中を歩くことで、崩れたバランスを取り戻そう、というコンセプトのようです。
短期での滞在用にデザインされているからか、お風呂は付いていないようですが、もし森を持っていたら、こんなタイニーハウスを置いて、週末をゆっくり過ごしたいですね。
ALPHA TINY HOME
TINY HOUSE SWOONという、とにかくタイニーハウスの写真ばかりを掲載しているブログがあります。眺めているだけでも面白く、時々見ているのですが、その中で僕がいいなと思ったものがこちら。
見た目はごくシンプルなんですが、中身が凄い。キッチンやリビング、寝室、トイレや風呂などの基本的な機能はもちろん、ポップアップ式のデッキテラスや収納式のダイニングテーブルなど、工夫が盛りだくさん。
TINY HOUSE SWOONに写真がたくさん載っていますので、ぜひご覧ください。
ロケーションの良いところに置いてAirBnBで貸し出したら、喜ばれそうです。このタイニーハウスでパーティ開いたら盛り上がるだろうな〜。
Luxurious tiny home
オランダで「自給自足、コンパクト、エコロジー」などをテーマに活動する建築事務所「WALDEN STUDIO」が、大工さんとコラボレーションして生み出したタイニーハウスがこちら。
出典:inhabitat
コンセプトは「道路も走れて、且つラグジュアリー」、そして「オフグリッド(電気の自給自足)」。
天井には発電のための太陽光パネルと、採光のための大きな天窓があります。壁は羊毛で断熱されているので、内部の空調は小型の薪ストーブのみ。キッチンはガスを使用するタイプなので、電気を使うのは照明と冷蔵庫くらいでしょうか。
クルマでこのタイニーハウスを引いて出かけ、一般住宅のような快適(ラグジュアリー)な室内空間での時間を、それに必要な電気や水道などを自給して過ごすことができる、というわけです。
The Fox House
最後はツリーハウスタイプのタイニーハウス。今回紹介したタイニーハウスの中で唯一、地面(木)に固定するので、移動できません。
リンク先の写真では、内部の家具やインテリアがちょっと僕好みではない部分もありますが、それにしてもとにかく快適そう。ゲストハウスとして、娘の部屋として使用されているようです(これを幼い娘のいる若い夫婦がDIYしたというのが凄い)。
こんなツリーハウスが日本の杉林の中にぽつねんと建っていたら、逆にちょっと不気味かも知れませんが(笑)、借りた山にこんなタイニーなツリーハウスが作れたら最高でしょうね!
タイニーハウスムーブメント?
さて、このタイニーハウスのムーブメントですが、日本でもミニマリストなど、「持たざる暮らし」が注目されています。なぜ、このようなムーブメントが起きてきたのでしょうか。
THE TINY LIFEというサイトによると、「経済的な、あるいは環境的な懸念に対する答えの一つとして、タイニーハウスがある。コンパクトな空間は、生活をよりシンプルにし、時間と自由を生み出すことになった」とあります(意訳)。
ハーバードの学生たちが起業したGatewayのWEBサイトにも同様のことが書かれています。
狭くて少し不自由な暮らしの方が、足りないものを自分で賄おうとすることで手段がローテク化し、それが環境に対して低負荷となる。また、工夫を凝らすことで創造性が高くなる。そして、実はより自由に暮らすことができるのではないかと。
新しくて立派な持ち家での暮らしは魅力的ではあるものの、借金返済ために仕事に縛られ、家での時間や、それよりももっと大切な家族との時間が十分に持てなくなる、ということでは本末転倒です。
仕事を一生懸命に頑張り、十分な報酬を得ることは大切なことですが、その大半を家のローンに回すことなく、家族との食事や旅行、大切な人へのギフト、投資や寄付などにも使える自由を得られるというのは、魅力的に思えます。
タイニーハウスに注目が集まる理由の一つは、住宅に関する固定的な価値観が多様化してきていることの表れなのかも知れません。
最近はグランピングなど、リッチでラグジュアリーなスタイルのキャンプも生まれていますが、その対極とも言えるウルトラライトというスタイルが20年ほど前に生まれ、アウトドアの一つのジャンルとして確立されてきました。もちろん、家族で楽しむ一般的なファミリーキャンプやオートキャンプ、バイクのツアラースタイルなど様々、とても多様です。
住宅にもいろいろな選択肢があって当然ですし、キャンプのように、皆がそれぞれの暮らし方、スタイルを尊重できるような世界になるといいなあと思う次第です。
そういえば、少し前に、隈研吾さんがsnow peakのテントをデザインしているというニュースがあり、その中に「取り返しのつく建築」という言葉が出てきましたが、クルマで引いて移動できるタイニーハウスは、それをまさに実現した家とも言えます。
日本だとタイニーハウスをピックアップトラックが引いて公道を走っていたら、みんな驚くと思いますが(もちろん僕も)、そんな日が来るといいですね。