柳茶屋キャンプ場で結婚パーティを開催してみた
僕とトム(妻)は昨年、2014年に結婚しました。新婚旅行は富士登山、結婚パーティは僕が毎週のようにキャンプしていた地元のキャンプ場でと、アウトドア三昧。いずれもめちゃくちゃ記憶に残るイベントとなりました。今回はキャンプ場での結婚パーティの様子をシェアしたいと思います。
会場は、鳥取砂丘のすぐそばにある「柳茶屋キャンプ場」。トイレや流し場、ゴミ出しまで無料の、市営のキャンプ場です。
いつもはこのように松の木と砂地だけ。プランナーやコーディネーターに頼んでいないので、ここを自分たちで結婚パーティの会場に変更する必要があります。
準備で考慮した5つのポイント
勝手知ったるホームグラウンドとはいえ、そこでイベント、しかも結婚パーティをやったことなど、当然のことながらありません。しかも開催は11月上旬。夜間になると結構冷え込むし、招待する友人たちの中にはアウトドアとは無縁の生活をしている人たちもたくさんいます。
そこで、信頼できる友だち数名に声をかけてプロジェクトチームを結成し、押さえるべき5つのポイントを洗い出しました。
マイナスのポイント
まずは「これを押さえておかないとかなりマイナス」な2点。
- 寒いかもしれないので、暖をとれるようにする
- アウトドアに不慣れな人がいるかもしれないので、椅子など最低限の設備の準備や、適した服装などの情報を事前に提供する
アウトドア三昧な僕たちにしてみれば当たり前のことでも、やはりそうではない人の方が多数なはずだという意見が出ました。結果、それぞれの問題に対して、
- たくさんの焚き火を用意する。屋外用のストーブも検討
- 椅子(コンテナをひっくり返す)を用意。適した服装や駐車場・トイレの情報などをFacebook、LINEなどで事前に共有。当日は受付でチラシも配布。トイレも事前に清掃しペーパータオルなどを設置する
という内容で対応することに。焚き火は薪をコンテナ18個分(軽トラ一台の荷台がパンパンになる量)、焚き火台もキャンパー仲間のものを借りて6〜7台用意しました。
プラスのポイント
次は「プラスポイント」=楽しかった、良いパーティだったと思って帰ってもらうための3点。
- 美味しい食べ物・飲み物、温かい食べ物・飲み物がふんだんに、たっぷりある
- 緊張させない(突然指名して一発芸をさせたり、話をさせたりしない)
- 孤独感を感じさせない
1と2は何とかなりそう。問題は3です。「あの人にも来てほしい」という主催者側の欲求が強すぎて、知り合いのいない中に消極的な友人を招待してしまう、招待されたというのはよくある話です。誰もそう願っていないのに、招待された人は終わったあとに少し寂しさを感じながら会場を去っていくことになります。
それは避けねばならない! 僕たちがなるべく話しかけるようにするとか、気の利く友人を近くに配置する、などの案も出ましたが、パーティが始まると確実に崩壊してしまいそうな感じ。
孤独を感じさせないレイアウト
毎日のように会場予定地を訪れ、毎晩のようにレイアウトのスケッチを描いてたのですが、ふと「会場を思い切り狭くして、みんなをくっつけてしまうのはどうだろう?」と考えました。
焚き火を中心に椅子となるコンテナを配置し、火と人、人と人の距離を短くするという案です。一般的な結婚披露宴だとテーブルとテーブルの間はゆったりとってあるものですが、その逆で、ちょっと通るだけでも「すみません」と声をかけないと通れないくらいの密度にしようというわけです。
これは多くの人が同意すると思いますが、焚き火というのは不思議な力を持っていて、焚き火を前にしていると妙に穏やかな気持ちになってきます。そしてそこは開放感あふれる自然の中。すぐそばに知らない人が座っていたとしても「火、暖かいですね」みたいな会話が交わされないかな〜と妄想的に期待して。
最大の心配は天気
屋外でやるイベントなので心配なのはやはり天気でした。一週間前になんと季節外れの台風(20号)が発生して鳥取県直撃の予報…。
幸運にも予報はハズレ、最終的には太平洋側に大きく進路が逸れましたが、野外でのイベント、しかも初冬。これで雨や風が強かったら、開催は強行できるかもしれませんが、ゲストは1ミリも楽しくないでしょう。もしその日の天気がそうなった場合は、迷わず中止にしようと思っていました。
雨が降った時のバックアッププランも全然考えていませんでした。一つの計画だけを徹底的に準備して、それに賭けていたからです。結婚パーティの開催を一か八かで予定するのもどうかと思いますが、中止の可能性があったとしても、それでも地元ならではの自然の中でやりたかったわけです(この考えに同意してくれたトムに心から感謝)。
Wedding Bonfire Party
前日の夜からキャンプ場での場所確保、料理の仕込み、資材のチェックなどを行い、ついに当日。
台風は遠く太平洋上。天気は薄曇り、気温は高めでまずまずの環境でした。昼下がりにパーティスタッフが集まって準備開始!
スタッフとしてパーティに参加してくれた友人たちには、スタッフ用Tシャツをプレゼントし、パーティ中はこれを着用してもらいました。
初めて会う人同士でも、同じTシャツを着ることでみんなが親近感を持って準備作業ができるようにという思いと、何か困ったことがあったりトラブルが生じた時に、ゲストが誰に声をかけていいのか分からないという状況をなくすため、一目で誰がスタッフなのか分かるようにという意図がありました。日没後、多くのスタッフが上着を着てTシャツが隠れてしまったので、誰がスタッフか分からなくなってましたが(笑)。
僕たちが具体的な指示を出さずとも、自主的に考えてドンドン会場をつくってくれた仲間たち。頼もしくて誇らしくて嬉しくて、最高でした。
つくった料理たち
「美味しい食べ物・飲み物、暖かい食べ物・飲み物がふんだんに、たっぷりある」がテーマなので、まずはお腹を満たすもの=主食=お米とパンを。
おにぎりは3.5升分で、ノーマル(塩抜き)、炊き込みごはん、鰹と胡麻のおにぎり、栗おにぎりの4種。ノーマルはカレーにも使います。ベーグルサンドはいくつか試作をして一番人気の「クリームチーズ、ドライフルーツ+ナッツのサンド」だけに絞ることにしました。
暖かい飲み物は豚汁、カボチャのポタージュ、カレーの3種。カレーはパキスタンまで修行に行ったこともある友人特製の野菜カレーです。
そして石窯を持ち込んでの石窯ピザ。休みの日には軽トラに石窯を乗せてイベントに参加し、ピザを焼いているという職人級の友人に依頼し、本格的な石窯ナポリピザを堪能してもらいました。
フードはそのほかにもピンチョス、モロッコチキンのグリル、フライドポテト、国産黒毛和牛のモモ肉ブロック(3kg!)のローストなど。デザートには、神戸に住む僕の親友がつくっているバターサンドとトムの親友がつくってくれたスイートポテト。飲み物はビールやワイン、日本酒に焼酎、酎ハイ、コーヒーに紅茶などなど。
絶対に「もうなくなりました」とは言わない状況をつくりました。正直、ちょっとつくり過ぎたかもしれませんね(笑)。
ペットボトルのキャンドルライト
約1か月間、普段はあまり飲まないペットボトルの飲み物を買ったり、街中で見かけたら拾ったり、家族や友人にもらって集めた、およそ300本のペットボトルを半分にカットし、キャンドルを入れて火を灯しました。
ちょっと前までゴミだったものにしては、綺麗でしょ?
地面に置いたり紐に吊るしたりして、パーティの敷地境界線(僕が勝手に決めただけですが)や、会場入り口から受付までの通路を示します。
辺りが暗くなってくると、子どもたちのテンションも上がってきます。パーティには14、5人くらいの子どもたちが来てくれましたが、みんなすぐに仲良くなって、こんな感じで遊びまくり。
ここはキャンプ場なので、結婚パーティであってもお行儀よく椅子に座って静かにしておく必要はないんです。
想像していた空間が現実になった
日が完全に落ちて暗くなり、キャンドルライトとランタンの光だけになったキャンプ場は、夜な夜なスケッチをしながら僕が想像していた空間そのものでした。
「孤独感を感じさせない」の解決策として考えた「狭い会場」。
結果は、どうだったんだろう…。チョット分かりません。みんな楽しそうにしてくれているように見えましたけど、やっぱり始まったらいろいろ忙しくて周りを細かく見ることができませんでした(u_u;
焚き火
気温が下がってきたら、焚き火の出番。
1年以上乾燥させた桜の薪は美しく燃えてくれました。またこの日はほぼ無風だったので、煙がまっすぐ上に上ってくれたのも、すごく幸運でした。
キャンプと言えば? 歌と踊り
キャンプと言えば合唱。キャンプと言えばフォークダンス。このやや古臭いステレオタイプな発想から決まったコンテンツは、そのまま歌と踊り。
お腹がいっぱいになった頃に、東京で歌手として活動していた後輩が登場して、見事な歌を披露。
彼の奥さんは森のようちえんを運営しています。週末は彼もその活動に参加し、子どもと一緒に歌をうたって盛り上げているらしく、それゆえ子どもを盛り上げるのが上手い。子どもが楽しそうにしていると親も幸せになるわけで、自然と場全体の空気が高揚してきます。
続いてフォークダンス。
オクラホマミキサーの予定でしたが難し過ぎて覚えられず、急きょ音楽に合わせて適当に踊るパフォーマンスショーに。これがまた楽しかった…。
終了、からのキャンプ!
このあと、僕たちの富士登山の様子をスライドでシェアし、挨拶をしてお開きとなりました。
挨拶をする僕とトム
その後はもちろん、引き続きキャンプです。パーティからキャンプ、また歌って踊って、眠くなった人は寝て…。
本当に最高の一夜でした。
終わってみて思ったこと
あまりオススメはできません(笑)が、
最初に書いたように、天気という大きなリスクがあり、料理や飲み物はもちろん、電気や暖(焚き火)、椅子やテーブル、テントなどの設備もすべて自分たちで準備しないといけないのは、かなり大変です。もちろん、こうしたウェディングをプランニングしてくれる会社もあるかも知れませんので、そうしたパートナーを見つけることができれば、開催はより楽になります。
一般的なウェディングとは違う、自分たちがやりたい形にこだわると苦労が伴うのは当たり前のことですが、やり遂げればその準備も含めて大切な思い出になることは間違いありません。
とにかくゲストに感謝
僕が当時40歳、トムが31歳ということもあって、招待した友人たちはほぼみんな同年代。つまりオトナ。無意味に大騒ぎしないし、使用済みのカップやタバコの吸殻を地面にポイ捨てしたりしません。トイレの手洗いに設置していたペーパータオルも、男性トイレ側には使用済みのものを入れるゴミ箱を設置するのを忘れていたのですが、一箇所にキレイにまとめて置かれていて驚かされました。
参加してくれた友だちがパーティのことをFacebookに投稿してくれていて、そのコメントが「やっぱり家族っていいねって感じました。娘にもこうした機会、時間をたくさん与えてあげたいと…仲間や家族の温かさを」とか「 2人らしいおもてなしと、集まった人の空気感が素晴らしく、とても素敵な時間でした」とかで涙なのですが、これを読んでも分かるとおり、ゲストの皆さんが醸し出す暖かい雰囲気が素晴らしかったのだと、あらためて思うわけです。
あらためて、仲間に恵まれて、助けられて、幸せに暮らせているんだなと思うわけです。