8日間で欧州3か国を周ってきた話
先週、仕事でドイツ、フランス、イタリアのヨーロッパ3か国に行っておりました。
ドイツの某企業の招待による渡欧でみっちりと予定が組まれており、時差ボケもなんのその。ドイツに到着した翌朝から、帰国する前日までがっつり仕事でした。こんな感じ。
日本からドイツへの移動時間も含め、8日間のうち移動が40%、仕事が30%、睡眠が20%、残りが食事や自由時間といった感じです。ちなみに表にある準自由時間というのは、自分でコントロールできる時間ではあるものの、荷造りや身支度など、出発のために費やす必要がある事実上の非自由時間を意味しております。
今回、僕にとってはじめてのヨーロッパで、大半の時間を仕事に使ったとはいえさまざまなモノゴトが非常に新鮮で刺激的でした。あれこれ語りたいところではありますが、守秘義務に抵触する内容も含まれるため、時系列に旅程を紹介するのではなく、今回の旅で感じたことを思いつくままに書き出してみたいと思います。
初めてのビジネスクラス
今回のフライト、一覧にするとこんな感じ(鳥取↔︎羽田を除く)。
出発地 → 到着地 | |
---|---|
運航会社 / 機種 | |
3/3 | 東京羽田国際空港(HND) → フランクフルト空港(FRA) |
Lufthansa(LH717) / B747-8 | |
3/7 | パリ=シャルル・ド・ゴール空港(CDG) → ミラノ・マルペンサ空港(MXP) |
Air France(AF1130) / AIRBUS A220-300 | |
3/9 | ミラノ・リナーテ空港(LIN) → フランクフルト空港(FRA) |
Lufthansa(LH279) / AIRBUS A319 | |
フランクフルト空港(FRA) → 東京羽田国際空港(HND) | |
Lufthansa(LH717) / B747-8 |
ありがたいことに、招待してくれたドイツの企業、この4つ全てのフライトでビジネスクラスの席を用意してくれました。もちろん僕にとって初めてのビジネスクラスです。
いや〜、さすがに良かったですね。
特に帰りのFRA→HNDの便は、下のイラストに赤丸で示した中央列の席だったので、非常に快適に過ごせました。
画像出典:Lufthansa
中央列の席は、両端の席よりも中央の肘掛け部分が広く(2倍近くあると思います)、両方の席が通路に面しているのでトイレなどで離席する時に隣の乗客に気を遣う必要が全くないのが素晴らしい。窓からの景色が楽しめないというデメリットはありますが、先に挙げた2つのメリットには到底敵うものではありません。
さらにこの席の場合、後ろに客席がないのでそこに不要なもの(就寝時に使うマットや布団など)を一時的に置いておくこともできました。
往路で利用した窓側の席。間違いなく快適だが、トイレに行く時はやはり隣に気を遣う
同じビジネスクラスでも航空会社(機種)によって座席の広さや仕様、サービスは異なりますし、その中でルフトハンザが際立って良いかと言われればそうでもないのですが、日本からドイツまでは12〜14時間の長時間フライト。座席をほぼ完全に平らな状態にして横になって休めるのは本当にありがたい。
食事もエコノミーとは全く違う料理ではありますが、個人的にはコース仕立てで出てきたり、飲み物にたくさんの選択肢があることよりも、広い席でゆったり食事できることの方にメリットを感じました。
LIN→FRAでサーブされた朝食。シリアル好きの僕はこれが一番気に入った(笑)
ちなみに、フランス→イタリア→ドイツで使用した短距離区間のビジネスクラスは、2列席の場合は2席まるごと買い取る、つまり隣に乗客がいない状態で座ることができるというもの(3列席の場合は真ん中に人がいない)。それを知らない僕は、「けっこう混んでるのに、なんで僕の隣は空いてるんだろう」と不思議に思っていて、このことに降機してから気づくという…(笑)。
座席のランクとは関係ありませんが、フランスからイタリアへの空路で見たピレネー山脈は度肝を抜かれました。
ストライキの影響
フランスからイタリアに向かわんとする頃、その帰路、イタリアからフランスに戻る便がキャンセルされたことが知らされました。
報道※によって、ドイツの鉄道や航空会社でストライキがあり、影響が生じる可能性があることは知っていました。が、自分たちが利用する予定の便がキャンセルになるとは。
今回は代理店が予定を組んでいたので、自分たちで振替え便を探す必要はありませんでしたが、これがブラジルの時のように自分たちで計画・手配していた旅だったらちょっと大変だったかも知れません。この影響で、帰国する日は朝3時に起床、4時にはホテルのロビーに集合して空港に向かうという超絶早起きスケジュールに変更となりました。まあ、予定日に帰国できるだけで御の字なのですが。
※ロイター「ドイツの鉄道・空港でスト 一部空港は出発便キャンセル」
ちなみに、以前にオススメのサービスとして紹介したたびレジ。出発前は「ストライキ実施に伴うルフトハンザ航空便への影響(1月28~3月1日)」としてリスクを警告してくれていましたが、その後は特にメールは届かず。その後の情報を取得していたのかどうかは不明ですが、最新情報もこまめに届けてくれると嬉しいですね。
ドイツ、フランスのパン
今回の旅ではひたすらパンを食べていました。とにかくパンが美味しかったんですよね。
ドイツ、フランスのパンはとても美味しく感じたので、駅の売店でクロワッサンを買ったり、ホテルの朝食で出されたパンをポケットにしのばせ、移動中にスナック感覚で齧ったりしていました。
空港のラウンジにもパンがどっさり並んでいたので、腹がはち切れるかというくらい食べました。
CDGのルフトハンザ航空ビジネスクラスラウンジ
一方、イタリアのレストラン等でサーブされたパン類は、ドイツやフランスに比べると僕の好みから少し距離がありました。特にグリッシーニという軽くて細長いタイプのパンはあまり…(その割に、料理が出てくるまでの時間が長いのでバクバク食べてましたが笑)。残念ながら滞在中にチャバタには出会えませんでした。
でも、お土産にいただいたビスコッティと、あとリゾットも美味しかったです。
Ristorante Acquamattaで食べたリゾット。カルナローリの美味しさを堪能
朝ごはん最高
朝早くホテルを出なければいけない日もあったので毎日ホテルの朝食をとれてはいないのですが、フランスとイタリアのホテルでそれぞれ1回ずつ、しっかり朝ごはんを楽しむことができました。
特にイタリアのホテル「Il Castello di San Gaudenzio」での朝食は良かったですね。
イタリアで利用した古城ホテル「Il Castello di San Gaudenzio」の朝食
フランスのそれと大差はないんですが、「イタリア人はあまり朝ごはんを食べない、よってイタリアのホテルの朝ごはんは質素である」という事前情報から全然期待していなかったこともあって、「わ! めちゃイイじゃん!」と。この日は朝、じゃっかん時間に余裕があったので気分がよく、余計に美味しく感じられたのかも知れません。
食事の時間が長い&遅い
イタリアの方は、というと主語が大きくなってしまいますが、僕たちが一緒にお仕事をしたイタリア人たちはとにかくのんびり、ゆったり。午前中の仕事が長引いてしまい、「こりゃ昼食は吉牛に駆け込んで急いでかき込んで食べないと間に合わないぞ」ぐらい予定が押していても、2時間ほどゆったりと食事をし、「ドルチェのあとはエスプレッソ飲むよね?」。いやいやさすがに急ぎましょうよ、となりましたが(ドルチェはいただきましたが笑)、多分僕たちがいなければしっかりエスプレッソ楽しんでたでしょうね。
帰国の前日、滞在していたホテルのレストランに行ったのですが、写真のように店内はガラガラ(実際にその時に撮ったものです)。
イタリアのホテル「Il Castello di San Gaudenzio」にあるレストラン
午後8時過ぎと少し遅いし、やや外れた場所にあるホテルだからかな? なんて思っていたのですが、10時過ぎに退店しようとしたらなんと満席になっていました。幼い子どももいて、でも「いま始まったばかりです」みたいな感じで食前酒を楽しんでいる……。本当にゆったり時間を楽しむお国柄なんですねぇ。
そういえば、フランスのランスでノートルダム大聖堂近くのレストランに入った時も、オーダーしたら「今すぐ食べたい?」と聞かれました。「はい」と答えましたが、周りを見ると確かに食前のお酒を飲みながら会話を楽しんでいるテーブルが多数。僕らより先に入っていた客も、僕らが退店する頃に料理が運ばれてきていたので、やはりのんびり楽しむ感じなんでしょうね。
酒を飲んで運転する
ドイツでもフランスでもイタリアでも、みなさん、食事の時にビール、シャンパンやワインをしっかり楽しまれるのですが、その後ふつうに車を運転されていました。
日本と比べて飲酒運転の取締りの基準が緩いようで、たとえばイタリアは、血中アルコール濃度が0.5g/l以上で取り締まりの対象となるようです。ちなみに日本だと0.03%以上で酒気帯び運転になりますね。
ただ、彼らの飲み方を見ていると、だいたい食前にシャンパン1杯、料理が出てきてワインを1杯、ぐらいで終わるんですよね。つまり、料理や食事を楽しむためにお酒を飲んでいるのであって、お酒を飲む(酔う)ためにお酒を飲んでいるのではないということです。もちろん、食事のあとに運転が控えているということで飲む量を抑えていた可能性はありますが、僕はそんな印象を受けました。
ペットボトルよりガラス瓶
ホテルや売店などでは、ペットボトル入りの水ではなく、再利用しやすいガラス瓶入りのものが主流でした。
現在、EUは瓶の再利用を含む食品の包装に関して規制を進めています。これに関連し、瓶の形状がヨーロッパでは一般的でないため再利用が困難という理由で、日本酒が事実上の輸入禁止になるのではないかというニュース※がありましたが、その一端を垣間見た気がしました。
※日本経済新聞「日本酒の欧州禁輸、瀬戸際で回避 現地ルール対応に盲点」
ホテルと空港
この旅で滞在したホテルは4つ、利用した空港は5つ※。本当に眠るだけで去らなければいけなかったホテルもあり、堪能できたかと問われるとアレですが、ドイツ、フランス、イタリアそれぞれに特徴があり、面白さを感じました。
※鳥取砂丘コナン空港を除く
特にパリ=シャルル・ド・ゴール空港はラウンジも、搭乗ゲートのあたりも印象的でした。
こうした国や地域の玄関口となる空港も、旅先での楽しみの一つです。
田園風景が美しい
ドイツからベルギーを経由してフランスへの約4時間のドライブをはじめ、各国での移動はおもに車。ドイツのフランクフルトからケルンへの移動は鉄道を利用したのですが、いずれも車窓からの景色が本当に美しかったです。
ベルギーで立ち寄ったコンビニの駐車場から見た景色
なんなんでしょうかね。街並みも、田園風景も、何もかもが美しい。
住宅に統一感があって街並みが整然としていること(帰国後に日本の街並みに感じる猥雑さといったら)はもちろん、電信柱や電線がないこと、信号機が少ないこと(信号機のない交差点も多く、主要な交差路にはラウンドアバウト※が多用されている)など理由はいろいろあると思いますが、とにかく景色が美しい。北海道帯広の穀倉地帯に行った時もその美しさに感動しましたが、欧州の美しさはその比ではありませんでした。
※JAF「[Q]ラウンドアバウト(環状交差点)とは?」
家族にも見せたいな〜と思いながら、車窓を眺めていました。
地震がないってこういうこと
ヨーロッパではほとんど地震が起きないようです。家が破壊、解体されることがあるとすれば戦争ぐらいのものでしょうか。日本のように定期的に巨大な地震が起きて全てがリセットされてしまうような土地とはワケが違います。
だから古くからの街並みが残され、生活に活かされているのですが、あれだけ美しい街並みならば、それを大切にしてそのままの姿で使いたいと思うのは至極当然のことのように思えます。
この旅を企画したドイツの某企業を訪問したのですが、経営陣は最も古くからある建物に、その他の社員は比較的新しい建物にオフィスを持っているのも、古いもの=歴史を持つものに価値があるという考え方を端的に表しているように感じました。
・・・
初めてのヨーロッパでしたが、想像以上に素晴らしい場所でした。今度は家族で訪問してゆっくりと過ごしたいですね。