スイスに行ってきた話 その4 仁川国際空港経由の是非編

スイス旅行記も4つ目となりました。今回は鳥取からスイスまでの経路について書いてみようと思いますが、米子鬼太郎空港(YGJ)を利用しない方にとってはほとんど意味のない記事となっております(いや、意外とそうでもないかも?)。




鳥取〜仁川〜チューリヒ

僕たちのように鳥取市に暮らす人たちが海外旅行に行く場合、一般的には、大阪まで出て関西国際空港(KIX)を、または東京の羽田国際空港(HND)使うのが常道だと思います。僕自身、ここ2年ほどで4回ほど海外に行きましたが、全てKIXかHND経由でした。

しかし今回僕たちは、韓国の仁川(インチョン)国際空港(ICN)を経由してスイスに行くという、いわば変化球的経路を使いました。

以下、詳細です。

往路
1 米子鬼太郎空港(YGJ) → 仁川国際空港(ICN)
エアソウル RS746
3/14 15:50-17:40(1時間50分)
2 仁川国際空港(ICN) → チューリヒ・クローテン国際空港(ZRH)
スイスエアライン LX 123
3/15 11:00-16:50(13時間50分)

仁川からチューリヒまでは約14時間と非常に長いフライトでした。どういう空路か、以下の動画でご確認ください。

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続いては復路です。スイス韓国間は往路同様、直行便を希望していたのですが、仁川から米子に帰る便の時間に合わせるには(詳細後述)、フランクフルトを経由する便しか選択肢がありませんでした。

復路
1 チューリヒ・クローテン国際空港(ZRH) → フランクフルト国際空港(FRA)
ルフトハンザ LH 1187
3/20 11:15-12:20(1時間5分)
2 フランクフルト国際空港(FRA) → 仁川国際空港(ICN)
ルフトハンザ LH 712
3/20 15:15-10:50(11時間35分)
3 仁川国際空港(ICN) → 米子鬼太郎空港(YGJ)
エアソウル RS745
3/21 13:15-14:40(1時間25分)

ICNを経由した理由

なぜ今回、僕たちがこの経路を使ったのか、主な理由4つを書いていきたいと思います。

1.航空運賃が安いから

まずはこれ、航空運賃が安いからです。

上記に書いた往路・復路の航空券はおよそ42万円でした(座席指定料除く)。

それでは、HNDやKIXを発着する便はどうか。

僕たちが実際に比較対象とした便はメモがなくなってしまったので、2025年5月末にKIX、HND、ICNを発着する便それぞれの価格で比較してみたいと思います。

関西国際空港(KIX) 1.KIX – 香港国際空港(HKG)
2.HKG – チューリヒ・クローテン国際空港(ZRH)
所要時間:17時間10分(1.4時間5分+2.13時間5分)乗り換え2時間25分
運賃:47万4640円 キャセイパシフィック航空
羽田国際空港(HND) 1.HND – ドバイ国際空港(DXB)
2.DXB – ZRH
所要時間:17時間55分(1.11時間15分+2.6時間40分)乗り換え2時間20分
運賃:63万6550円 エミレーツ航空
仁川国際空港(ICN) 1.ICN – シャルル・ド・ゴール国際空港(CDG)
2.BDG – ZRH
所要時間:15時間00分(1.13時間45分+2.1時間15分)乗り換え2時間5分
運賃:32万195円 ルフトハンザ航空

このようにICNを発着する便の航空運賃が、KIX、HNDのそれを大きく下回っていることが分かります。NHD発着の便と比べると倍近いですよね。僕たちが利用した3月末でも同じような差があったと記憶しています。

が、当然のことながら次の疑問を持たれるでしょう。

同じ日本国内にある空港のKIXとHNDを比較するのはいいとして、外国である韓国の空港ICNを横並びで比較してしまっていいの? と。

続いて、この点について説明します。

鳥取市民がKIXやHNDを使おうとする場合、KIXなら高速道路を使い、旅行と同じ期間の駐車場利用が生じます(そのほかに電車やバスも利用できますが、今回は利便性を優先して自家用車で行く計画で検討します)。HNDなら国内線の飛行機を使ってそこに行かなければなりません。当然、ICNを使うならば韓国仁川に行く必要があります。3つの空港を利用するいずれの経路でも費用が発生します。

この費用を加算しても最安値なのであれば、ICNを使う根拠となり得ます。

発着空港 必要経費 詳細(内訳)
ICN 10万6285円 ・ガソリン代 約4000円(鳥取市内-YGJ)
・航空運賃 8万7030円 YGJ – ICN(往復)
・宿泊費 1万5255円
KIX 4万3000円 ・高速道路使用料 1万2000円(鳥取IC – KIX)
・ガソリン代 約8000円
・駐車料金※1 1万3000円(8日間)
HND 9万4760円 航空運賃(鳥取砂丘コナン空港(TTJ)-HND)

というわけで、KIXが一番安く、ICNが一番高くなってしまったわけですが、その差はおよそ6万円。KIX発とICN発の航空運賃の差額、15万円を大きく下回ります。

よってICNを利用するプランが最も安価な経路となります。

2.KIXよりYGJの方が気楽だから

YGJは鳥取県境港市にある地方空港。こじんまりとしたローカル感たっぷりの空港なので、とにかく気楽に利用できます。

CAMP HOUSE - スイス旅行 米子鬼太郎空港YGJ

aw家のある鳥取市から車で2時間強かかりますが、KIXから3時間以上高速道路を走って帰ることを考えれば、鳥取のローカルな道の運転は気楽なものです。

YGJは青空駐車場ではあるものの無料で駐車できるのもグーです。

3.韓国観光をプラスできるから

今回は韓国には1泊のみ、しかもトランジットのためのICN利用だったということで、韓国滞在のための時間を用意しておらず、観光らしいことは全くできませんでした。ホテルの周辺を少し歩いた程度ですかね。

CAMP HOUSE - スイス旅行 仁川のロッテマート
ホテルの隣にあったロッテマート

せっかくなので1〜2日ほど韓国観光のために時間を使ってもいいかも知れません。次回はきっと、そうすると思います。

4.試してみたかった

これが最大の理由です。とにかく、ICNを使ってみたかった、試してみたかったのです。

東アジア最大級のハブ空港ICNに、地元鳥取県の空港から飛行機1本で、しかも鳥取東京便よりも安価に行けるのですから、もし使い勝手が良ければ、そしてチケットも安く買えるとなると、今後の旅の幅が大いに広がる可能性があります。

そのポテンシャルを確かめてみたかったというわけです。

ICNを使ってどうだったか

さて、これまではなぜICNを使ったのかについて書いてきましたが、結果どうだったのか、使い勝手は良かったのか、問題はなかったのか、そして次回もICNを使うのか等々について書いてみたいと思います。

毎回、入出国する必要がある

ICNを使う最大の問題は、毎回入出国する必要があるということです。

ICNにはターミナル1(T1)とターミナル2(T2)、2つのターミナルそれぞれにトランジットホテルがあります。これを利用すれば、乗り換え便が日をまたぐ場合でも韓国に入国することなく、スムーズに乗り換えることができます。

今回、僕たちはYGJからICNへはエアソウル(AIR SEOUL)を利用しました(唯一の選択肢)。そしてICNからZRHへはスイス航空。つまり異なる航空会社の便を乗り継いだわけです。YGJで預けた荷物を、エアソウルがスイス航空に転送してくれれば、自分たちがICNで荷物を受け取る必要がありません。トランジットホテルに泊まり、翌朝の便でスイスに向かい、ZRHで荷物を受け取れば良いのです。

しかしエアソウルに問い合わせたところ、別航空会社の便には預け入れ荷物を転送できないとのこと※2。つまり、一旦韓国に入国してから荷物を受け取り、スイス航空のカウンターで荷物を預け入れる必要があるというわけです。

これが面倒であることを超えて真剣に困る(マジにヤバい)のが、乗り継ぎ時間が短い場合です。実際、復路では緊張が走りました。

復路、FRAからICNへの便の出発が30分ほど遅れました。もともとICNでの乗り継ぎ時間は2時間20分ほどしかなかったので、1時間50分へと短縮されます。これが単なる乗り換えなら問題ありません。しかしICNでは入出国の手続きが必要です。

降機して入国審査、税関を通過して荷物を受け取り、出発フロアに移動してエアソウルのカウンターでチェックイン、荷物を預け、保安検査を受け、出国手続きをしてYGJ行きの飛行機に搭乗する、この一連の流れを1時間50分でスムーズにこなすことができるのか……。特に問題となるのが入国審査。ここが混雑しているとふつうに1時間以上かかったりするので、乗り継ぎが難しくなります。

ICNの入国審査のゲートの前にできていた長蛇の列を見た時は絶望しかけましたが、思った以上に早く渋滞が解消し、入国審査を30分ほどで通過できました。あの時の安堵感は忘れられません。さらにYGJ行きの便が遅延していたので、結果的に時間にかなりの余裕ができたわけですが、何か一つ問題が生じていたら、違う結末を向かえていたでしょう。

ICNでは、乗り換えだけでなく、入出国手続きや荷物の受け取り、預け入れがあることを踏まえ、また前の便が遅延する可能性も考えると、乗り継ぎにはやはり3〜4時間の余裕が欲しいところです。

CAMP HOUSE - スイス旅行 フランクフルト空港でのトランジット
FRAでの乗り換えで必死に歩くトム(妻)と娘。ハブ空港はとにかくデカいです

ICN-YGJの便が少ないことの影響

2025年4月から週5本に増便されましたが、エアソウルのYGJ-ICN便は、僕たちが利用した3月時点では週に3本(水曜、金曜、日曜)で、1日1本でした。時間はYGJ/15:50-ICN/17:45で、ICN/13:25-YGJ/14:50です。

往路、ICNに到着してから乗り継ぎまでに3時間をみるとなると、21時以降に出発する便となり、選択肢がかなり狭まります。

僕たちの目的地スイスへ向かう便は夜間出発がなく、翌朝の便を選択せざるをえませんでしたが、どこへ行くにも必ず一泊する必要がある(しかも入出国が必須)となると、単純なトランジットとしては利便性がガタ落ちになってしまいます。これは行き先や航空会社によるところも大きく、一概には言えませんので、また機会があれば調べてみたいと思っています。

理想としては、ICNに午前中に到着する便があると、選択肢が広がっていいんですけどもね。

復路も、週3本且つ1日に1本しかない、そのピンポイントの便に合わせてスケジュールする必要があり、ここも選択肢を狭める要素と言えそうです。

ターミナル1と2に注意

ICNは東アジア最大級のハブ空港です。よってかなりデカい(広い)です。空港はT1、T2に別れていて、シャトルバスで20分程度と相互の移動に時間がかかります。まあ、ハブ空港内の移動ってだいたいどこもそんなものなんですが。

CAMP HOUSE - スイス旅行 仁川国際空港
左上がT2、右下がT1です(出典:Google Maps

前述の、FRAからICNに遅れて到着した件、FRA-ICNを飛んだルフトハンザの飛行機が、ICN-YGJを飛ぶエアソウルと同じT1に到着してくれたことも、限られた時間内に全ての手続きができた大きな理由だと思います。もし異なるターミナル、T2に到着していたら……今回のケースではおそらく間に合っていたと思いますが、脇汗びっしょりかくくらい緊張したはずです。

これはどの空港でも言えることではありますが、特に、入出国手続きが必須となる※3エアソウルを使ってのYGJ-ICN便では、ICNでの乗り換え便がどのターミナル発着となるかを十分にチェックしておく必要があると思います。

結論としては

目的地へのちょうど良い便があり、便と便の兼ね合い(乗り換え時間など)に問題がなければ、またICN経由で旅をしても良いと思っています。

入出国は確かに面倒ですが、先に書いたように、それを逆手にとって韓国旅行を楽しんでもいいし、時間に余裕があれば大きな障害にはならないと思うからです。

韓国発着の飛行機を使う際の注意点

韓国を発着する便を利用したのが初めてだったので、初めて知ること、驚いたことがありました。

モバイルバッテリー規制

YGJのエアソウルカウンターでチェックインしようとした時のこと。

「機内にモバイルバッテリーを持ち込みますか?」「はい(現物を提示)」「これは100Wh以下ですか?」「分かりません」「確認させていただきますね」

その後、僕のバッテリーは、全ての出力ポートを絶縁テープでシールされた状態で手元に戻ってきました。もちろん、トムのものも同様です。

「機内では、モバイルバッテリーは常に手元か、座席前ポケットに入れておいてください。荷物棚の中で保管することは禁じられています」

な、なにごと?

聞けば、2025年3月から韓国の航空会社におけるモバイルバッテリー(と電子たばこ)の機内安全管理が強化されたとのこと。同年1月28日に韓国釜山(プサン)金海(キメ)国際空港で航空機の火災が発生、原因が荷物棚に置かれたモバイルバッテリーの発火だったようなんです※4。

CAMP HOUSE - スイス旅行 韓国系航空会社ではモバイルバッテリーの機内扱いが厳しくなりました
ICNの保安検査所入り口に設置された看板

絶縁テープでポートをシールしたり、はたまたモバイルバッテリーをプラスチックバッグに入れるだけと指示内容はマチマチだったりしますが、とにかく「見えないところに置くな、そして機内では使うな」といった点は共通しています。

実際、同じような航空機の火災は度々起きていて、タイ国際航空やシンガポール航空が韓国の動きに追従し、機内でのモバイルバッテリーの使用禁止を発表しています※5

辛ラーメン

KIXやHNDなど日本の空港から離陸する国際線の航空機には、たいてい日本語を話せる客室乗務員がいますし、食事やサービスも日本の要素が取り入れられますよね。

同じように、韓国を発着する便には韓国の要素が取り入れられていました。

一番驚いたのは、辛ラーメンの提供です。

辛ラーメン
画像出典:Amazon

スイス航空のICN-ZRH便では、食事時以外でも、フードバーのような場所から食べ物や飲み物を乗客が自分でとって客席で食しても良く、その選択肢の中に辛ラーメンがありました。僕の席から見えるだけでも、数人の乗客が辛ラーメンを楽しんでいたようです。

また、帰路に利用したルフトハンザの便では、食事にレトルトパウチされたキムチが供されました。

気になるのは、機内をキムチ臭が漂うのではないかというところですが、全くしなかったですね。航空機の空気は数分で全て入れ替わるようになっていると言いますが※6、その実力を実感しましたね。

・・・

今回、国内のハブ空港ではなく、国際線のある地方空港から外国のハブ空港に行ってそこから海外旅行へ、という話を書きましたが、日本全国いろんなところで活かせる話のような気がしますね。ぜひ調べてみてください!

と、最後にこのピンポイントな記事に汎用性を持たせようと無理やり広げてみました(汗)。この記事がいつかどなたかの参考になれば幸いです。

  1. KIX 駐車場料金シミュレーションにて8日間の駐車料金を算出しました。
  2. エアソウルに問い合わせたところ、基本的にはできないが出発当日にカウンターで聞いてみてくださいとの返答。しかしトランジットホテルを利用するには、事前に荷物に転送可否を知る必要があったため、YGJのエアソウルカウンターに電話してみたところ、不可との返答でした(以下、エアソウルからのメッセージです → Hello, this is Air Seoul. The transfer service to the other airline you inquired about is not provided by Air Seoul, but please contact the staff one more time at the Air seoul airline counter on the day of departure. We would like to inform you that we need to check the exact date of departure to see if automatic baggage connection with Lufthansa Airlines is possible. Thank you.
  3. ICNで同じエアソウルの便に乗り換える場合は、入出国の必要がない可能性があります。
  4. TRiP-A「韓国、3月1日からモバイルバッテリーの機内持ち込み規制強化へ」/KBS WORLD JAPANESE「金海空港で発生の旅客機の火災原因はモバイルバッテリーか
  5. 朝日新聞「機内でモバイルバッテリー禁止に 相次ぐ安全対策 火災事故の影響か
  6. ANA「ANAグループで運航する航空機は、約3分で機内の空気がすべて入れ替わります

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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