耐震補強設計を進めています
2024年はとんでもない始まりとなりました。
令和6年能登半島地震(以下、能登の地震)が最大震度を記録した時、僕たちは近所の神社を初詣していて地震に気付きませんでした。神社で顔見知りのコーヒー屋さんに「けっこう揺れたね」と言われ、それで初めて地震の発生を知りました。急いで帰宅してつけたテレビ。固定カメラによる映像を背景に、手元にある情報をアナウンサーが繰り返している……声元旦ということもあって現地の情報がなかなか入ってきません。
2〜3日経ってようやく伝わってきた被災状況を見て、僕は本当に身震いしました。
大津波警報が出たので、「東日本の時のような被害が出てしまうのか」と非常に心配しましたが、時間が経つにつれ、津波よりも、震度7という非常に大きな揺れとその後の度重なる余震によって多くの家屋が倒壊し、またそれによって亡くなった方、今も発見に至っていない方が多数出ていることが分かってきました。
写真や映像を見ると本当に大変な被害で、どのように復旧・復興していくのか想像もつきませんが、1日も早く、能登の方々が以前と同じ穏やかな生活を取り戻されることを祈っています。
我が家も耐震補強工事します
今、僕たちが暮らす住宅も築50年以上と非常に古いです。耐震補強が必要であることは火を見るよりも明らかゆえ、昨年、鳥取市の無料耐震診断を受けました。思っていたとおり(いや、想像以上に)耐震強度の無さが数値によって示され、明らかになりました。
それを受けて、我が家は今年、耐震補強工事を実施する予定です。現在、診断をしてくれた設計事務所が本設計を進めてくださっています。
写真は耐震補強工事の概案です
設計が終わり次第すぐに工事に取り掛かりたいところではありますが、鳥取市の補助金制度を活用するつもりなので、工事は今年の6月以降になりそうです。それまでに大地震がこないことを祈るのみ。
耐震補強工事は普及しているか
能登の地震で指名が公表されている亡くなられた方うち、およそ9割が倒壊した家屋の下敷きになり、主に窒息によって亡くなられています※1。このニュースを見て、「我が家も耐震補強しなければ」と考えた方は多いと思います。
しかしそこに立ちはだかるのが、設計・工事費用です。
僕も耐震診断と、それを経て我が家に必要な補強工事の概算見積もりを聞くまでは、少なくとも1000万円以上は必要になると考えていました。
しかし、現時点でハッキリとした金額は出ていませんが、我が家の場合、230〜250万円ほどでできるのではないかとのこと。補助金を活用すれば、さらに負担が減ります。以下はその概算です。
概算見積もり | 補助金(鳥取市) | |
---|---|---|
耐震診断 | 無料※2 | – – – |
耐震設計 | 33万円 | 12万円 |
耐震診断 | 250万円 | 100万円 |
合計 | 283万円 | 112万円 |
自己負担額 | 171万円(283万円 – 112万円) |
「安い! すぐにでもやろう!」と誰もが飛び付けるような金額ではありませんが、命を守るための対価と考えれば絶対に出せないという金額ではありませんよね。
低コスト工法による耐震工事
今後30年以内にマグニチュード8〜9という巨大な地震が起きる可能性が80%以上と考えられている南海トラフ※3。この影響を強く受ける地域の自治体は、住宅の耐震化促進にかなり力を入れています。彼らにとって巨大地震は、いつ来るか分からない災害ではなく、近い将来ほぼ確実に起こる災害だからです。
しかし、いくら行政が「大きな地震が起きるから、古い家に住んでいる人は耐震補強工事を受けてください!」と声高に叫んでも、住民がその必要性を十分に理解していたとしても、先述のように費用という大きな壁が立ちはだかっていては行動に移すことは難しい。
できるだけ費用を抑えながらも、必要な耐震性を確保できる工事ができないものか……この問いに答えたのが、大学や行政、建築業界が連携する「愛知県地区地震災害軽減システム研究協議会」というコンソーシアムです。
彼らは、これまで方法論としてはあったものの効果が不明だったため耐震補強工事に採用することができなかった、簡易で低コストな工法(低コスト工法)の効果を実験によって検証。結果、低コスト工法は、新築に採用されている耐震工法の約8割の強度を発揮することが分かりました※4。
南海トラフの高いリスクにさらされている高知県は、耐震化率が90%近くとかなりの住宅が耐震化を果たしています。手厚い補助制度に加え、低コスト工法による負担額の低下が大きな理由と考えられています。
鳥取市も同工法を補助制度の対象としており、僕たちが現在計画を進めている耐震補強も、この低コスト工法による工事となります。
お金の使い道
しかし、低コスト、とは言え。
170万円もあれば、家族で旅行に行ったり、欲しいものを買えたり、あるいは同じ自宅の修繕だとしても娘の部屋をリフォームしたり……正直、僕もそのようにお金を使いたいです。
が、楽しい時間は命、健康あってのもの。
我が家は、家族の安全と健康に最大限のリソースを投下すると決めているので、迷うことなく、耐震補強工事です。
- 読売新聞「能登地震、犠牲者の9割が家屋倒壊…専門家「阪神大震災と同様に多くは窒息死か」」/石川県「お亡くなりになった方の氏名等」
- 鳥取市をはじめ、全国の自治体の多くが耐震診断を無料で実施しています。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
- 名古屋市住宅都市局 耐震化支援室「あなたの住まい、低コストで耐震化しませんか?(PDF)」
- 地震本部 「南海トラフで発生する地震」
参照した記事
- DIAMOND ONLINE 「【現地ルポ】能登半島地震で「住宅倒壊」続出のなぜ、浮かび上がった「災害対策の課題」とは?」
- まいどなニュース 「「8秒間が生死を分ける!」地震が起きた時にとっさにすべき行動とは?訓練すれば幼児もできる!専門家に聞いた【前編】」
- 南海トラフ地震に備えポータルサイト「住宅の耐震化」
- 株式会社さくら事務所 「令和6年能登半島地震・金沢市周辺の市街地の緊急調査からの提言」
- さくら事務所ホームインスペクション「専門家が解説「令和6年能登半島地震」の特徴と盲点」